第3話

「あぁ、すまんな須崎の。目的を忘れていた」

「なるだけ早く帰りたいので手短にお願いします理事長」

色素の薄い髪と瞳をしたソイツは、毅然とした態度でババアと言葉を交わす。

「愚息の斎よ。

 この男は今日からこの学園に編入してきた須崎雫(すざき しずく)だ。

 今後は生徒会のメンバーとしてお前が暫く身の回りの世話をしてやる様にせよ」

「は?」

この学校の生徒会は特殊だ。

全生徒の選挙で行われる点は他の学校と変わらないが、その内容が違う。

生徒会役員になりたい生徒が立候補し投票で当選するのではなく、

生徒がこの人を生徒会にしてほしいという希望で票が入る様になっている。

要は人気投票といったところだ。

俺は去年の5月の選挙で1位になってしまい、生徒会長を務めている。

実のところ投げ出したい気持ちで沢山なのだが、

生徒会特典もあり、結構自由な学校生活を送らせて貰っているので否と言えない。

他の仲間も選挙において上位5位にランクインしたため生徒会のメンバーである。

そんな生徒会に理事長の推薦?で入るなど、前代未聞だ。

「マジで言ってんのかよ」

「わざわざ編入生を巻き込んでまで嘘は吐かん。して、返事は?」

俺が反応に困っていると一歩前へ出たのは藤代雄大(ふじしろ ゆうだい)。

「伊舞希さん、須崎くんはどう思っているのでしょうか。

 僕らよりもそちらの方が重要かと思います」

やはりこういう場面で雄大は気が利く。

雄大がニコリと笑みを向けるとババアは編入生の方へ向き直った。

「それもそうか。須崎の、お主は生徒会は嫌か?」

「……いえ、先程特典とやらも聞きましたし構いませんよ」

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