第2話
私立霜楓学園。
この学園は、大学までのエスカレータ式の学校。
全てが規格外の学園。
俺の母親こと呉城伊舞希(くれしろ いぶき)が理事長を務めている。
俺、呉城斎(くれしろ いつき)はその理事長に呼ばれて、仲間と共に理事長室に爆速で向かっている最中だ。
急いでいる理由はただひとつ。
あのババアからのお仕置きが待っているからだ。
アイツは生粋の愉快犯である。
その事は俺が幼少の頃からの話で、学園内で有名の話だ。
先程来た連絡の内容は『今直ぐ理事長室に。5分以内に来ないと仕置きが待ってる』だった。
「ねぇ、今何分?」
「知るか時計見る暇あるなら走れ!」
「もう着くから間に合うっしょ〜」
背後で叫ぶ仲間たちを尻目に、俺は理事長室の扉を
ノックもなしに強引に開いた。
その直後視界に入ったのは、漫画から出てきた様な容姿をした男だった。
「4分47秒…まぁ、合格ね」
「チッ、何の用だババア」
「入って早々舌打ちするんじゃない愚息が」
「誰がそうさせてんのか分かんねぇのかよおい」
取り敢えず視線を母親に向け、俺は睨んだ。
いつもの軽口を叩く両者に、口を挟む者は居ない。
と、思われた。
「あの、帰って良いですか」
柔らかい声が耳に届いた。
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