大谷翔平vs藤井聡太vs大の里

金澤流都

今回も大穴の大勝利

「またしても開催と相成りました、『明らかに異世界人杯』! 今回はなんと大谷翔平vs藤井聡太vs大の里と、イクイノックスが暴れた前回と比較しても遜色ない顔ぶれが集まりました! 実況はわたくし花野、解説は地の文さんにお願いします。地の文さん、この顔ぶれ、どう思われますか?」


 そもそもなんの競技ならフェアな戦いができるんですか、この人たち。


「今回の試合形式は昆虫採集となっております! より大きく、色艶がよく、希少な昆虫を捕まえた選手が優勝となっております!」


 いやそれ「とびだせどうぶつの森」の虫とり大会じゃないですか!!!! もうひと世代前の話じゃん!!!!


「さあ各選手、スタート地点に立ちました!」


 いやスルーするんかい!!


「地の文さん、なにが勝敗を分けると思われますか?」


 まずは令和の若者であるこの3人が虫に触れるか、というのが大事かと思う。大谷翔平なら網を高速スイングするだろうし、藤井聡太なら捕まえた虫で勝てるか考える知恵があるし、大の里は気迫で勝利しようとするだろう。いや虫とり大会に気迫で勝利するってなんだ、とにかくそういうことなのでいい勝負が繰り広げられるのではないか、と思っている。


「さあ、号砲が鳴らされました! 3人の†伝説†が動き始めた!」


 なにその厨二病っぽい†伝説†。

 まずは大谷翔平が素晴らしいスイングでオニヤンマを捕獲した。オニヤンマはなかなかのレアキャラではないだろうか。

 続いて藤井聡太が地道に大きさを狙う作戦か、トノサマバッタを捕まえ……着物の懐にすっとしまった。大丈夫? トノサマバッタ潰れない?


「フィクションなので潰れないそうです」


 あっ、そうなの。大の里はのしのし歩いて、色艶で勝負するらしくキラキラのアゲハ蝶を……猫騙しで潰した。いや死なせちゃだめじゃん!


「フィクションでも潰れるんですね。あっ、藤井聡太の着物の懐がなにやらシミに……ああっ、大谷翔平のオニヤンマが愛犬デコピンに狙われている!!!! デコピン、オニヤンマをかじっている!!!! アメリカの犬にはオニヤンマは面白いおもちゃだったか!!!!」


 なんでデコピンが乱入してるの!?


「おおっと、藤井聡太が扇子を空にむけてトンボを待っている! 糸トンボがすいーっと降りてきた! さすが勝ち虫! 神様トンボ! 相当希少なのではないでしょうか!? 一方、大の里はなにか巨大な木のようなものを持ってきた……ナナフシです! それも海外のクソでかいやつ!! 相変わらず大谷翔平は捕まえた虫をかたっぱしからデコピンに奪われている!」


 い、犬〜!!!!


「地の文さん、デコピンの犬種であるコーイケルホンディエは遺伝性の難しい病気にかかることもあるそうで、飼うのに覚悟がいる犬種だと聞いたことがあるのですが、それもあって大谷翔平はデコピンに虫をとられるままにしているのでしょうか?」


 どうなんでしょうな……愛玩動物というのは遺伝性の疾患があるにせよそうでないにせよ、覚悟というものが必要なものだと思うのだが、ハイタッチしたり始球式をしたりできるくらい丁寧にしつけているデコピンがこういう無体な破壊工作をするとはどうにも思えない……しかしそこは犬なので大谷翔平の家も壁をボロボロにされたりソファからワタを抜かれたりしているのかもしれない。

 そう思えば我が家の猫氏の破壊工作なんてかわいいかわいい……。


「地の文さんの猫はともかく、このままでは大谷翔平の敗北に近づいていきます! ああっ、賑やかしで呼ばれていた渡辺明九段が虫にビビって逃げ回っている! おなじく賑やかしの熱海富士はカブトムシを捕まえてニコニコだ!」


 なんで渡辺明と熱海富士が(どちらも地の文が好きだから登場させました)。


「おおーっと! セクハラ事件でえねっちけーから追放されたカマ●リ先生が光り輝くようなオウゴンオニクワガタを捕獲した! ここで時間切れとなりました! 優勝は……カマ●リ先生! まさかの幕切れとなりました!」


 また変なことになってるぞ!?


「カマ●リ先生、大きく歌舞伎の仕草をとっている! さすが歌舞伎役者! さて熱戦が繰り広げられたわけですが、地の文さんから一言講評をお願いします」


 なんでこんな意味のわからないものを、意味のわからない義務感に駆られて書いたのか自分でもわからないよ……。

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大谷翔平vs藤井聡太vs大の里 金澤流都 @kanezya

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