天使見習い現る
「さてそれでは改て。
まずははじめまして、ですね。
三澄悠太さん。」
この際、水死体みたいな名前の青だぬ、ゲフンゲフン……ネコ型ロボットみたいな登場は置いておこう。
「私、リオって言います。
天使見習いです。」
そう言って無い胸を張り、誇らしげに自己紹介する天使見習い(自称)
「自称って何ですか!?」
薄桃色の髪を左で纏めた、いわゆるサイドテールと言う髪型に、ゴスロリと言う感じのワンピースには胸から腹部にかけて縫い目の装飾が施されている。
「じゃあ…厨二病かな?」
「いやいやなんでそんな発想になるんですか!
ほら羽!羽があるでしょ!?」
「ははは、よく出来てるな。」
「いや、手作りじゃねぇ……ですよ!」
今なんかどこぞの芸人っぽくなかった?
「それに、普通の人間だったらこんな所から出てこられないでしょうに。」
まぁ、それはそうである。
「手品かなんかだと……。」
「いい加減怒りますよ?」
怒られた。
割とマジトーンで言われたのでまだ信じきれてはないが話を聞いてみる事にする。
「はぁ……。
まぁ本題に入りますね。
あなたは生前の事をどこまで覚えてますか?」
「生前……?
って事はやっぱり俺死んだのか!?」
「そりゃ死ぬでしょ。
だってトラックの前に飛び出してドーンですよ?ドーン。」
いや、事実なのかもしれないけどさ……なんか軽くね、、?
「それじゃあ何か?この世界は転生世界って事か……?」
俺がそう言うと、リオは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「なぁんだ!分かってるじゃないですか!
てっきり私の事を自称天使見習いだとか厨二病だとか言うからそう言う理解が全く無い頭カチカチのオタアンチなのかと思ったじゃないですかー。」
さてはコイツ根に持ってるな……。
笑ってるようで自称天使とか言った辺りで圧を感じたのは気のせいじゃない筈だ。
「ま、まぁ俺だってそう言う系のラノベとか漫画も多少は読んでたからな。」
「へぇ、なのに信じてくれなかったんですかー?」
本当根に持ち過ぎだろう……。
「まぁ、それはこの際良いです。
私は見習いとは言え天使なので許してあげましょう。 」
「チョロ「何か言いましたか!?」」
ひーん…何も言ってまてん……。
「コホン、それでですね。
現世での悠太さんはトラックに轢かれて死んだ訳ですが、どうしてトラックの前に飛び出したのかは覚えてますか?」
「……いや、そもそも俺は死ぬつもりなんかなかったし……。
そう言えば頭の中でなんか言ってたよな。」
「そうですよ。
悠太さん、誰かに背中を突き飛ばされたんですよ。」
「背中を……?」
「はい、悠太さんは何か悩んでたみたいでそれどころじゃなかったみたいですけど。」
「ま、まぁ。」
「悠太さん、誰かに恨まれるような事でもしたんですか……? 」
「そ、そんなわけ……!」
「天使見習いの私に誓って言えますか?」
「それは別にどうでも「何か言いましたか!?」」
ひーん……。
「……そんな事言われたって分からないだろ?
自覚が無くても誰かを傷付けてる事だってあるし。」
「まぁそうですけどね。
で、恐らくですが悠太さんを突き飛ばした犯人はこの世界にもいると思います。」
「ちょ、ちょっと待てよ!って事はまた命を狙われるって事か?」
「それなんですが。
ちょっと気になる事があるんですよ。」
「気になる事?」
「実はあなたを突き飛ばしてすぐ、その人も自殺しているんです。」
「無理心中って事か……?」
「そうです。
そしてどうやら彼女が一連の動作をした事に関して、私の知り合いが絡んでるっぽいんですよ。」
「えーと、つまり……?」
「もしかしたら二人がこの世界に転生してきたのは、その人と私の知り合いの計画した事なのでは、と私は考えてます。」
「マジかよ……。」
「同じ天使見習いとして、今回の事に知り合いが絡んでいるとしたら捨ておけません。
だからこうして、私が悠太さんの様子を見に来た、と言う訳です。」
「なるほど……。
ってもどうすれば良いんだよ。」
「とりあえず、現世の悠太さんが死んでいる以上、この世界で生きていくしかありません。
まぁ良いじゃないですか、また一から学園生活を送って彼女でも作れればハッピーエンドじゃないですか。」
「ハッピーエンド……?」
「え、そこ食い付きます?」
「俺はもう二度と恋愛なんてしないと誓ったんだ。
転生したってそれは変わらん。」
「まぁたそんな事言って〜。
本当は女の子が好きな癖に〜。」
リオが俺の頬を頬を指でグリグリしてくる。
「えぇい、鬱陶しい!しないったらしないんだ!」
「うわぁ、そんなワガママなお子ちゃまみたいに……。
でも無理ですよ?」
「は?」
「だって高校生活終わるまでに彼女出来なかったら悠太さんはこの世界から消えてもう再生不可になっちゃいますもん。」
「……は?」
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