第50話

寒空の下、公園のベンチの側に捨てられていた子猫を当時18歳の龍之介が保護したのだ。


龍之介は悲しみに暮れていたあの夜の日の事を思い出した。


寂しくても、悲しくても言葉を発することの出来ない猫はただただ、生きたい、寂しい、と小さな喉で泣き叫ぶ。


おいで、と優しく拾ったとき。なんだか涙が出そうになったんだ。



しかしこの女の厄介な部分は猫のように泣き叫ぶのではなく笑顔を盾に自分の感情をなかったものにしようとする所だ。そして、それを自覚していないところ。


厄介すぎる女。

自分は少しお節介な一面があるのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る