第46話

「ませやがって!ガキじゃねえか!」


「子供じゃないわ。精神年齢はそこらの女より大分上だし」


「なわけあるかッ!!我が儘しか言ってねえだろうが!!そう考えると、二十歳っつうのも府に落ちるな!!」


「ねえ、二人になったからってキャンキャン吠えるのやめくれない?眠いんだから、静かにしてよ」





こいつが男だったら容赦しなかった。今夜は不運だな。龍之介は苛立ちをなんとか抑えながら、百合を上から睨み付けた。





「てめえが引き留めたんだろうが。さっさと寝ちまえ、クソガキ」


「え?ちょっと!行かないでってば。龍ちゃんは私と一緒に寝るの」


「あのな、話聞いてたか?俺はそこまであんたの面倒を見る気はさらさらねえからな。だいたい、俺は他人と寝ない主義だ。特にあんたは論外だな」


「じゃあ、誰か呼んでよ。さっきの眼鏡でもいいわ。誘ってきて」


「いい加減にしろよ」





自分自身、決して清い人間ではない。だから人に言えたことではないため口にはしないが、この女はまるで人を物のように扱っている。


自分の欲望を満たす物なら、何でもいいのか。

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