第45話

部屋に到着し、靴を脱がせると百合をそっとベットに寝かせた。


ーー俺は一体、何をしてんだ……。


龍之介は何度目かのため息をつき、水瀬達の元へ引き返そうとした。だが、ズボンの裾を引っ張られる感覚に嫌な予感を察する。





「一緒に寝よう……龍ちゃん」


「ふざけるな。こうして寝床は与えてやっただろ。これ以上の我が儘は聞かねえ」


「一緒に寝てほしいって頼んでるだけでしょ。可愛いじゃない。ねえ、行かないで……」


「あんたいくつだ?いい大人が吐くセリフじゃーー」


「二十歳」


「……は?」





龍之介は自分の耳を疑った。この大人びた容姿かつ終始余裕な態度の女が二十歳だという事実に驚きを隠せない。


俺はこんなクソ生意気なガキの誘惑に負けてセックスして、部屋まで運んでやったっつうのか。


ーーあり得ねえだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る