第42話
苛立っていることには変わりないが冷たい声色が少し和らいだような気がして内心喜びを感じる百合。しかし、売り言葉に買い言葉の果てに調子に乗った百合はつい勢いで龍之介の頭を「えいっ!」と拳で軽く殴りつけてしまった。
鈍い音に、車内が凍りついたような気配を感じて百合は自己防衛から反射的に笑った。
「ふふッ……あの、ごめんなさいね」
一応形だけの謝罪を述べたが時すでに遅し、龍之介は怒りを通り越して一瞬無表情になったが次第に殺意を滲ませ、百合に向かって手を伸ばした。
あ、殴られる——。
と、百合が覚悟した瞬間。
「——不本意だ」
「え?ちょ、ちょっと龍——んッ、んぅ?!」
龍之介は百合の鼻をつまみながら、深く口付けをすることで、呼吸をさせまいとした。
「んんーッ……んぅ、ッ、ふ」
頭を固定し、逃げられるのを阻止する。
苦しそうに藻搔く百合に、龍之介は支配欲を覚えた。
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