第33話

——どうして私の存在を無視するのだろう。


排他的にも程があるわ。





「あ〜、エッチしたい。4Pする?」





こうなればもう意地だ。これまで相手の話を聞き流すことはあっても、逆は滅多になかった。こうしてそっぽを向かれるのは別れ話の時くらいだったから。


自分の言葉を一言一句聞き逃したくないと甘えてくる元飼い主達が今は恋しい。


百合は龍之介の肩に持たれかかりながら、話を続けた。





「龍ちゃんのエッチって、とっても優しいわよね。触れ方とか——」


「調子に乗んなよ。素っ裸にしてその辺に捨てられてえのか」





冷たい瞳は、百合の存在を蔑むように見た。



——優しかったのは事実だ。


何をそんなに怒っているのだろうか。



一向に自分に懐く気配のない龍之介を百合が不満に思っていると——。





「龍——。来客だ」

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