第25話

「嘘じゃないわよ。本当。だから今は一人になりたくないの」


「警察に相談しろよ」


「貴方がそれ言うの面白い」


「ふざけてねえで、どうにかしろ。ストーカーする人間なんざ碌でもねえやつだぞ」


「警察には言えないわ。私、昔から淫交生活してたし、窃盗とか色々してたから警察にはお世話になりたくないの。家族や友達もいないから頼れる人もいない……」


「……」


「ねえ、お願い。他に良いカモ見つかるまででいいから、私のこと飼って?」





カモという単語は聞き捨てならなかったが、甘ったるい猫なで声を出す百合に紫藤は諦めたように溜め息を吐き出した。


この手の話に弱く、押しにも弱い自分をつくずく恨んだ。


この人形のように綺麗で、どこか切ない瞳と魅惑的な雰囲気が厄介だ。特に面食いというわけでもないというのに……我にも無く誘いに乗った自分にも非はあるが、この女の美しさは目に毒だと思った。

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