第23話

「……ッ、うぅ。私ね、前の飼い主と色々あって逃げてきたの。だからね……ひっく、家が無いのよぅ……」





消え入りそうな語尾は同情を誘う悲しみに満ち溢れていて我ながら天才だと思った。俯きながら肩を震わせれば完璧なシチュエーションだ。


内心、ほくそ笑みながら百合は無言状態の紫藤を盗み見た。すると、思っていたのとは真逆で、呆れ果てたような目で紫藤はこちらを見ていた。



ん?あれれ?





「あんた、泣き真似なんざして楽しいか?」





いろんな意味で哀れみの目を向けられた百合は、すっかり肩を落としてしまう。泣き落とし作戦が失敗したのは初めてのことで割とショックだった。

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