第20話

「んッ、あッ……。ふふっ。良かっ、た……んッ」


「あ?」


「ッ、ちゃんと……勃ってるわね。イイもん持ってるじゃ、ん。あッ。気持ちいい」


「舐めた口利くなっていってんだよ……ッ」


「あッ、もうだめ。イっちゃう……」





艶かしい声で喘ぐ女にクラクラと眩暈がした。

ついさっき出会ったばかりの変な女にだ。



夢だとでも思えばいい。







絶頂に達した二人は熱のこもった息を吐く。しかし、紫藤は余韻に浸るつもりはないのか、そそくさと自分の身なりを整え出した。


伏せ目がちで色っぽい男の目をボーッと見つめていた百合はハッと意識を取り戻し、勢いよく紫藤の膝上に跨った。


あまりの気持ちよさに半分意識が飛んでいた。


ーーこうしちゃいられないわ。





「おい、何してやがる」


「あのね……私、貴方のお家に行きたい」





連れてって?と瞼にキスをする。唇も奪おうとしたのだが、紫藤の大きな手の平に阻止されてしまった。

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