第19話
紫藤の首に両腕を回した百合は、グイッと自分に引き寄せて、その綺麗な形の唇を奪った。最初は抵抗を見せていた紫藤も、無理やり引き剥がすようなことはせず、何度も何度もキスをしている内に、受け入れるように舌を絡めてきた。
「ゴムねえから、最後までしねえぞ。満足したら帰れ」
「嫌よ。ゴム持ってるから、早く抱いて」
とんだ変態だ。と小さく呟いた紫藤は再び百合の唇を貪った。
後で後悔すると理解はしていたが、魔が差したんだ。
痛みのない真っ黒な長い髪は丁寧に巻かれていてふわふわと揺れている。白くて綺麗な肌に、赤い唇がよく映えていた。稀に見る耽美な容姿に理性を狂わされた。
ただ、それだけだ。
根性があるのか、それとも単なる世間知らずのアホなのか、少しだけ興味が湧いたが……。
今夜限りだ——。
こんな茶番は今夜限り。
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