第14話
最後の一段を上り終えると、紫藤は一番奥のvip席へと無言で向かっていく。
それにしても、さっきから妙に気になる。紫藤が百合の手首をまるで壊れ物を扱うように握っているからだ。ジッと紫藤の大きな手を見つめていると、いつの間にか部屋に到着していた。
手を引かれて中へ入ると、オレンジ色の照明が部屋を照らした。ざっと見回すとセックスをするには十分な大きさのソファーが目に入り、百合は不敵な笑みを浮かべて紫藤の手にもう片方の手を添えた。
「スーツ……ごめんなさいね。脱がせてもいい?」
しかし、紫藤は背を向けたまま微動だにしない。
その一貫しない態度に業を煮やした百合は、自ら手を解いて男の目前に移動した。
すると、図ったかのように紫藤は百合を抱き上げソファーに組み敷いた。そして、またしても紫藤は奇妙な動きを見せる。
比較的素材の良いソファーの座面は柔らかいため、少しの衝撃くらいはなんて事ないのだが、紫藤は百合の後頭部をぶつかる直前に自分の手の平で支えたのだ。
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