第68話

「ん?お前……昨日の巨乳か?」


「つ、椿です」


「お前よぉ……人がせっかく気持ち良く寝てるっつうのに起こすなよ!!バカだろお前!揉むぞコラ!!」






イライラしたように眉間に皴を寄せ重そうな目を思い切り開かせると不機嫌な声で叫び始めた。






「ご、ごめんなさい!!風邪を引いてしまうと思って……その、し、失礼しました!!」






こちらを見つめる鋭い眼光と物物しい空気に耐えられずその場から一目散に逃げ出した。






「おい、待てコラ女!!逃げる気か!!」






階段まで全力疾走すると同じように背後からドタドタと足音をたてながらこちらを追いかけてくる気配がした。






「い、いやぁ!!ごめんなさい!!」






階段を上ろうとした所で、雅久さんよりも少し太くて筋肉質な腕が私の首を捕らえる。






「ぐえっ……く、苦しい」






ぐいぐいと強い力で半ば引きずられるようにして歩く。






「り、陸斗さん……首!首ぃ!離してください!!」


「うっせぇな、お前!!」


「きゃっ……」






体を持ち上げられると、そのままソファーに思い切り投げつけられた。






「さぁて、どうしてやろうか?小娘」






悪魔のように手を空中に彷徨わせた陸斗さんがニヤニヤと笑みを浮かべながらじりじりと近づいてくる。

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