第67話
再び静かな廊下を歩きながら考えていると雅久さんの部屋までの曲がり角に着き立ち止まる。
雅久さん……きっとまだ寝てるよね。
早く顔を会わせて、おはようございますって挨拶がしたい……。
そう思いながらも自分の我が儘で雅久さんを起こす訳にもいかないと思い、曲がることなく真っ直ぐ慣れてきた通りを辿りリビングまで歩みを進める。
リビングまでの階段を下り、辺りを見渡すとソファーの上に後ろ向きで寝転んでいる人の姿が目に入った。
誰だろうと考えたが目立つ銀色の髪を見てすぐに陸斗さんだと気付き、恐る恐る顔を覗き込むんでみると気持ち良さそうにすやすやと寝息をたてていた。
部屋が温かいと言っても、布団も掛けずにソファーの上で寝るなんて体に悪いよ……。
辺りを見回すと、お酒のビンが散乱していた。
心配になり気持ち良く眠っているにも関わらず陸斗さんの肩を揺すり声を掛ける。
「り、陸斗さん……」
お酒が入っているせいか、なかなか目を覚まさないため、もう一度肩を揺すり今度はやや声を大きくして言ってみた。
「陸斗さん、こんな所で寝てたら風邪引いちゃいますよ!!自分の部屋に戻った方がーー」
「あー、うるっせぇな!!誰だ?!」
「……っ!!」
突如、大声を上げてこちらを振り替える陸斗さんに驚きと恐怖で声が出ず足がすくんでしまった。
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