第61話

ゆっくりと体を布団の中に滑り込ませると、ベルベット生地の服とふわふわな毛布に体全体が包まれ自然と頬が緩んでいた……。






「どう?」






ふわふわに包まれながら声のした方を見上げると優しげに目を細めた雅久さんがこちらを見つめていた。






「とても気持ち良くて、ぐっすり眠れそうです!!雅久さん、ありがとうございます!!」






上半身だけを起こし感謝の気持ちを伝えると幸福感から自然と笑みがこぼれる。


布団の暖かさに包まれ張り詰めていた心や緊張が和らぐと、思わず年相応な無邪気な笑顔を向けていた。






雅久さんの瞳を見つめていると綺麗な双眼が僅かに見開かれた気がしたが、手を伸ばし私の頭を撫でると満足そうに柔らかく微笑んだ。






私はこの時、雅久さんの綺麗な笑顔がとても好きだと思った。






「気持ち良さそうだね。俺もまぜてよ」


「え?……ちょ、雅久さん何してるんですか?!」






突如、布団の中へ体を滑り込ませると私の腰を引き寄せ雅久さんの胸の中にすっぽり収まる形で抱き締められていた。






「んー、あったかい。眠くなってきた」


「雅久さん!?」

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