第59話

甘えすぎてはダメだと頭では理解しているのに、心では幸福を感じてしまい徐々に欲深い人間へと私は成り下がってゆくのだ。


人を甘やかすのがとても上手だと思う……。


それほどの魅力が雅久さんにはある。






「じゃあ、次は椿の部屋ね」


「はい」


「俺の部屋を曲がらずにそのまま少し真っ直ぐ行って右の通路に空き部屋があるんだけど……覚えられる?」


「はい!!」


「ん、良かった」






先ほどの廊下へと引き返し真っ直ぐ歩いて右に曲がると幾つか扉があり、一番手前にある部屋に案内された。






「近いから、ここでいいよね?」


「私はどこでも大丈夫ですよ!!」






ん、と軽く返事をした雅久さんが私の手を引き扉を開けた。






「うわぁ……!!」






そこは、どこかの高級ホテルのように大きな部屋で私の予想をはるかに越えた造りとなっていた。






「綺麗~!!うわっ!!お風呂もトイレも全て用意されてるんですね!?すごーい!!」

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