第53話

美しい二重まぶたに少し切れ長の瞳は冷たい雰囲気を醸し出しているけれど、どれもこれも私には芸術にしか見えなかった。


すっと通った鼻筋も男性らしさを際立てていて、唇はやや薄くほんのり赤を含んでおり魅力的だと思わざるを得なかった。


全てが繊細に作られていて、まるで人形のよう……。






「……おーい、椿。どうしたの?俺の顔じっと見て」






魅了され目を離せないでいると、雅久さんに呼ばれていることに気づいた私は慌てて意識を向けた。






「あっ、ごめんなさい。そ、その……改めて明るい場所で見

た雅久さんのお顔がとても綺麗だなって思って……」


「……ふっ、俺の顔好きなの?じゃあ、もっと近くで見たら?」






そう言うと、雅久さんは私に顔を近づけてきた。至近距離でお互いの顔を見つめ合う体勢になり思わず言葉がしどろもどろになってしまう。






「……っ!!いや、あの、き、綺麗だなって……」


「ちょっと、あんたらいつまでイチャついてんのよ!!」


「そうだ、そうだ!!……酒飲もうぜ!!」


「あんたは、本当にうっさいのよ!!」


「おい、雅久説明すんじゃねえの?」


「がっくん、ドライヤー持ってきたわ」






さっきまで、お酒を飲みながら楽しんでいたがお仲間さん達が飽きてきたのか私達に向かって一斉に話し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る