第51話

広すぎて途中迷いそうになったが、なんとかさっきの階段に辿り着き急いで駆け上がると賑やかな声が聞こえてきた。


陸都さんの笑い声が一際大きく響いている……。


遅い、と怒られるのを覚悟して足を縺れそうになりながらも慌てて残りの階段を駆け上がる。






「お待たせして、す、すみません!!」






思い切り頭を下げると濡れた長い髪がはらりと私の頬を掠める。






「おっ、出たな女!!こっち来い!!上手い酒飲ましてやる」


「あ、あの私お酒は……」






顔を少し赤くさせた陸都さんが手招きをしてきたため戸惑っていると、






「お前は少し黙れ。……椿おいで?」






陸都さんが再び叫んでいて、それを気にしているとソファーに座っている雅久さんが自身の隣を叩き私を誘導してくれたため私は迷いなく小走りでそこへ向かう。






「髪乾かしてないの?別に焦らなくても良かったんだよ?」


「い、いえ、そういう訳にはいきません!!ご挨拶もまだしてないのに、私……とても気持ち良くて、時間を忘れてしまって、その……ごめんなさい」


「いいんだよ、気にしなくて。体は温まった?」






雅久さんはソファーの上で私の方に体の向きを変えると

後ろから私の腰を両腕で抱き寄せ足の間に挟み込んだ。

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