第38話
「……っ。いやっ!ち、ちょっと待って下さい!雅久さん!は、恥ずかしいです!」
顔を逸らしたくも顔を固定されており上手く逃げられない……。
さらにグイグイと距離を詰められ困惑していると、ふと雅久さんの吐息が顔にかかる。その近さに私は慌てて自分の顔を両手で覆った。
よ、よし!これで大丈夫。
顔を覆っているため何も見えないけれど雅久さんの両手が私の頬から両肩に移動し今度は雅久さんの生暖かい吐息が私の耳元を撫でる。
「椿……いい子だから、手どけて」
雅久さんの甘い囁きは私の鼓動を乱し、判断を鈍らせる。
拒む心が甘みの含んだ声で優しく溶かされてゆくのを心地良く感じ、顔を覆っていた両手を降ろし雅久さんを見上げた。
「あの……ど、どうぞ!!」
瞳が重なると、ふとこれから起こる事を想像してしまった私は顔を向けつつも思わず目線を逸らした。だが、襲ってくる刺激を待ち構えていても一向にその気配がないため不思議に思い瞼をゆっくり開けると突然、雅久さんが吹き出した。
「ふっ。……ははっ」
え?なんで笑うの?!
笑いを堪えるような表情を浮かべながら私の頬を両手で優しく撫でた。
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