第37話
夜の色など差し置いて光を放つこの街ではお互いの容姿や表情も明瞭に見えるようになっていた。
きっともう離れられないと、貴方なしではいられないという私の思いも涙に濡れた顔から溢れ出てしまっていると思う。
そんな私の瞳を見て雅久さんは優しい言葉を放ってくれた。
「綺麗だね……椿」
「え?」
「椿の表情、全てが綺麗だよ」
「……ふふっ、そんな事ないですよ?」
大袈裟に褒めてくれる雅久さんに照れて思わず顔が緩んでしまう。頬を伝う暖かな涙を拭いながら微笑むと、雅久さんが私の顔をじっと見つめてきた。
「……舐めてもいい?」
えっ?
突然、両頬を包み込まれると、少し舌を出した雅久さんの端正な顔が私の目元に近づいてきた。
「ちょっ……あの、ま、まってください、雅久さん!!」
「無理。ほら、俺の言うこと聞かないと。お嬢さん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます