第32話

どうして飛び降りるの?死んじゃうよ!!


驚いている暇を与えさせない程の状況に段々と恐怖に襲われ雅久さんの首に腕を絡めると視界を塞ぐように顔を埋めた。暫くするとどこかに着地したのか浮遊感がなくなった。






「椿、耳元でうるさい」


「こ、怖いです。下ろしてください!!」


「はいはい。もうちょっと待ってね」






絶対、私の反応を見て楽しんでる……。ジェットコースターには乗った事ないけど絶対こんな感じだよ……。






「俺のお姫様は泣き虫の上に怖がり屋さんで困ったな……」


「……っ。意地悪しないでください。普通に歩きましょう?」


「でも、悪くないね。可愛いよ、椿」






恥ずかしいセリフを平気で言う雅久さんに戸惑い、反応に困ってしまったが再び人並み外れた速さで走りだしたため恐怖も兼ねて顔を隠し誤魔化すことにした。


照れていたのも束の間、どんどん加速するスピードに再び恐怖が私に襲いかかる。






ふと、動きが止まるとそっと地面に下ろされた。恐る恐る目を開いた私は目の前の光景にハッと息を飲む。

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