第31話

「ご家族がいるんですね……って、家族?き、既婚者なんですか?!」


「違う、仲間。……何、泣きそうな顔してんの?」


「だ、だって私が居たら邪魔者になっちゃうと思って……」


「泣き虫」


「雅久さんが誤解を招く言い方するからですよ……でもお仲間さん達は嫌がらないですか?私のこと……」


「俺が決めたんだから口は出させないよ、っと……」


「え?何してるんですか?自分で歩けますよ!!」






急にお姫様抱っこのように抱きかかえられてしまった私は咄嗟に雅久さんの首にしがみついた。






「お嬢さんチビチビ歩くから、こっちの方が早い」


「いや、でも雅久さん疲れちゃいますよ!私、走りま、うあっ!!え?……っいやぁぁあぁあ!!」






申し訳なくて降りようとすると、雅久さんが急に走りだし尋常じゃないスピードで森を駆け抜けていく。


嘘でしょ?こんな森の中を軽々と!






人間離れしている動きに驚きを隠せないでいた。冷たい風が私の頬を掠め、景色が次々と変わってゆく。






「雅久さん、速すぎます!!え?いやぁぁぁぁぁあ!!」






浮遊感を感じ下を見ると、崖から飛び降りていた。

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