第27話

「……雅久さんの音を聴くと、なんだかとても安心します。私たち初めて出会ったのに不思議ですね?」


「そうだね……。不安になったら俺が抱きしめるから安心しな」


「……どうして、私なんかにそこまでしてくれるんですか?」






お互い何も知らないのに雅久さんは私を受け入れてくれた。よく考えたら普通じゃないよね……。






「……。さぁ……俺にもよく分からない」


「……わ、分からないんですか!?……でも実は私、人と接する事が苦手なんです。それなのにいつの間にか雅久さんには身を委ねていて……ふふっ、なんだか私たち変ですね?」







雅久さんが私の瞳をじっと見つめた。






「この月のせいかもしれないね……。息抜きにここの月をゆく見に来るんだよ。ここには俺以外に人なんか来ないんだけど……今日は椿が居た。今、椿を自分の物にしないと消えちまいそうだと思った。月と一緒に……」


「……私もこのお月様に背中を押された気がしました……。私はもしかすると雅久さんに出会う為にあの場所から消えてここに来たのかもしれないです。……私は、その、もう雅久さんのものなので、……消えません、から……っ」


「……ははっ、随分と嬉しいこと言ってくれるね?可愛いお嬢さんだ」






可愛い……?お世辞だと分かっていても恥ずかしい……。


気恥ずかしさを感じながらも、この上ない幸福感で自然と頬が緩みじっと笑顔で雅久さんを見つめる……。

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