第26話
「……ふっ、また泣くの?随分と泣き虫みたいだね」
「……ご、ごめんなさい。……私、こんなこと言われたの初めてで、嬉しくて……」
「椿」
雅久さんに呼ばれる度に心に栄養が生き届いている気がして、もっと呼んでほしいと思った。
雅久さんの男らしい腕が私の体を強く優しく抱きしめる。
まるで恋人のように……。
「椿は、もう俺の物だよ」
体が雅久さんの一部になってしまったのではないかと錯覚をしてしまう程、暖かさが体全体に染み込んでいるような気がした。
「俺の言うことだけ聞いていればいい。俺に染まるんだよ。……分かった?」
「はい……」
「ん……いい子だね」
頭を撫でられ更にギュッと強く抱きしめられると、私はもう一度雅久さんの音を求め胸に近づき耳を澄ませた。
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