第17話

あれ?服が濡れてない……。


あまりにも予想外な出来事に動揺を隠せずにいると、男の人が再び笑みを含んだ声を出しながら私を見つめていた。






「……やっと起きたか」


「あ、あの……もしかして貴方が私を助けてくれたんですか?……あれ?でも、場所……」


「さっきから何言ってんだよ。……寝ぼけてんのか?」


「……え?」






どうしよう……。

頭が混乱して状況が全く理解できない。






「あの……私、生きてますか?」






うわ……私、何変なこと聞いてるんだろう。






男の人は再び不思議そうな顔を私に向けた。すると突如、私の腕を引っ張り自身の方へと引き寄せた。


首と背中に腕を回されゴソゴソと何かを探るように私の胸元に顔を埋めてくる。






「……っ!!あ、あの、ちょっと!!何して……」






男の人とこんなに密着したことが無かった私は瞬く間に顔が熱くなる。心臓がドクドクと激しく暴れ出していた。






「あ、あの……変なこと聞いてしまってごめんなさい……も、もう許してくれませんか……」


「……生きてる」


「……へ?」


「ちゃんと動いてるよ。生きてるってことだろ」






心臓の辺りを指差しながら男の人が言った。


私の心音を確かめるためにわざわざこんな恥ずかしい事したの……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る