第4話
「お月様隠れちゃった」
徐々に体温が奪われてゆくのを感じながら冷えきった手を自分の吐息で暖める。
「とても綺麗だったなぁ」
この場所を選んで良かった。ここなら私の苦しみを全て消してくれるよね。そんな気がした……。
初めから何も無かった私の人生。誰にも迷惑をかける事なく私はこの闇と一つになる。
不意に少し強い風が吹き再び私の頬を撫でた。
「あれ?冷たい……」
静かな涙が頬を伝っていた。秋の風が吹くとより一層、頬の冷たさが増した。
「私どうして泣いてるんだろう……」
お月様が消えちゃったから?それとも怖くなったから?
「自分に問いかける事しかできないなんて……」
これが答えということだ。
この世は美しい……私がそう思えばこの世は美しいのだと
思う。でもそう感じる事が私にはできない。私が可笑しいのならそれでも良い。
もう何も望んだりしないよ。
側に誰もいないのなら、私はこの世界と決別する。
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