第3話
「はぁ、ついた……」
地面から顔を上げた私は、思わずハッと息を飲んだ。
目の前の星一つない真っ暗な空に大きなお月様が浮かんでいたから。
「こんなに綺麗なお月様を見たのは初めて」
今まで月を観察したことがさほど無い私でも、この月夜がきっと一番美しいのではないかと月光に照らされながら思った。
しかし、とても美しく輝いているそれはどこか寂しさも感じられる。
「お月様……寂しいの?」
返事なんてくるはずないけど返事をしてほしいと本気で思っている私は少し可笑しくなってしまったのかもしれない。
「大丈夫だよ。あなたは皆から必要とされているから。もちろん私も必要としてるよ。お礼が言いたいの……私をここへ導いてくれてありがとう」
肌寒さを感じていたが、私の心には少しの暖かさが加わった。
しばらくお月様を見ていると、
「あっ!待って!」
雲でお月様が隠れてしまい辺りが再び闇に包まれた。
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