第2話

「内容を確認してサインをしてくれたら契約成立だ!サインは偽名でも良いぞ」


『ヘルシャ、ここは偽名がいいと思う。もし人族に魔王の名前が広がったら疑われる』

 そもそも私が魔王って分かるかなぁ?まあ慎重にして悪い事はないよね。

 内容確認っと。

 特におかしな所は無いよね。

『ヘルシャ、ちょっと待って』

 何か問題ある?

『ヘルシャは人族の文字、書ける?魔族とは違う字』

 あ…

 そうじゃん、字について忘れてた!

『ヘルシャは人族の事の事前調査をあまりしてない。なぜしなかった?』

 後で良いかと思って…

 ごめんなさい。

『今はいい。目の前の課題解決に動こう』

 ありがとうございます。

『スキルボードに表示できなくても私が話す

 

 人族の文字

 ・文字は人族共通

 ・言語理解の進化スキル『言書語理解』を使えば書ける


 ヘルシャは言書語理解を持っている

 それを使えば良い』

 なるほど〜

 ありがとう、エリス!

『人族語、と念じながら書けば良い』

 魔法って超便利!

 それじゃあベルっと。


「おっ、書けたか。じゃあ『契約』!」


 黄金のまばゆい光が契約書から出てきた⁉︎


「嬢ちゃんは初めて見るか?これで契約は成立した。破ったらギルド治安維持部に突き出させてもらう」


 ギルド治安維持部?そんなものがあるんだね。


「わかりました」

「後、早めにギルドに登録しろよ。ギルドカードがあればどの場所の門も通れる。ギルドで倒した魔物も買い取ってくれる。他にも色々な機能があるが、ギルドで説明してくれるだろう。まあ、登録して損は無い」

「わかりました。色々教えてくれてありがとうございました」

「嬢ちゃんじゃあな!」


 ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎


 エリスに道案内してもらうこと数十秒。

『ベル、後はこのまま直進したら冒険者ギルドに着く』

 後もう少しでギルドに着きそう!

 あと、エリスって私のことベルって呼ぶんだね。

『ベルのことだからきっとボロが出る。だから慣れておいた方が良い』

 信用…ないッ…

『話す前からベルのことは見ていた。今までの行動から信用が得られる?』

 得られるよ!流石にそんなミスはしていないからね。

『自覚症状なしか…』

 ん?なんか言った?

『はぁ、もういい…』

 ならいいか。

 それにしても、思ったよりも門を通るのに時間がかかっちゃった。

『それはベルの事前調査不足も時間がかかった原因の一つ』

 え〜エリスは私に通行許可証を偽造しろと言うのかい?

『そう言うわけではない。ベルは気づいていなかったかもしれないけど兵長がベルがユニークスキルを使う時見ていた。それを終わるまで見ていたから遅れた。それだけ』

 えっそうだったの?気づかなかった。

 ていうかエリス未来予知できるって言ってたじゃん!終わるまで見ていたから遅れたってただの予想でしょ!

『理由を知っているだけで予知はした。実際門番が振り返ることを予知した』

 ぐぬぬぬ…

『それよりもギルド通り過ぎそう』

 えっ!

 ほんとだ。危ない危ない、話しながらだとぼーっとしちゃうね。

 さぁ、いざ入ろう!


 私がギルドに入って最初に思ったこと。

 それは「うるせぇ」だった。

 だってめちゃくちゃうるさいんだよ!耐えられない!

 でも耐えるしか無いんだよなぁこれ。

 冒険者ギルドに登録しないと不便だし、お金も稼げない。

 つまり残った道は「騒音に耐えろ!」だけ。

 Oh No!

 まあ耐えるけど。

 受付はあそこかな?


「おう嬢ちゃん、ここは遊びに来る場所じゃ無いぜぇ?」

「子供はおうちに帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」


 うわぁ、イラつくな〜

 というか、私ってそんな幼い容姿かな?

 12歳くらいの容姿で固定なはずだけど…

 まあそれはそうとして、この3人、ぶっ飛ばしちゃって良いかな?

『ギルド内のルールとして正当防衛は認められている。過剰防衛は認められていない』

 なるほど!ぶっ飛ばしちゃって良いんだね!

 でも一応最後の確認はしなきゃね。


「ぶっ飛ばしちゃっていいですか?」


『ヘルシャ、それ煽ってる』


「はぁ?何舐めてんだよ」

「胴体と首切り離されて良いんだなぁ?喧嘩売る相手間違えるなよ!」


 そっちから喧嘩売ってきたんじゃん!

 剣抜いたね!正当防衛!


「『ロック』『永久精神保護』『永久回復』『永久蘇生』『ヘルゴーレム』命令、致死級魔法をぶっ放し続けて」


『ヘルシャ、その魔法は異世界から渡ったとされる異界魔法!〈カンジ〉を使った魔法は使わないで!』

 もう使っちゃったしー

 もう遅いよー


「はぁ?ぶへらっ!」

「ゴフッ!」

「ギャフン!」


 ドン!ガン!ゴォぉおお!どガァああん!グシャッ!


「ふぅーすっきりスッキリ!」


 気づいたら周りがしーんとしてるね。うるさくならない内に登録済ませちゃお。


「すみませーん」

「はい、なんでしょうか?」


(なんでこんな事が現在進行形であるのに平静でいられるんだあの新顔受付嬢!)


「ギルド登録ってここで出来ますか?」


(マジかよ、まだ登録してないのか)

(しかもあの年齢で…エルフでもなさそうだし)


「出来ますよ。本来なら模擬戦試験があるのですが…後ろの方々を見ると大丈夫そうですね。特例で通してしまいましょう。わたくし、ギルドマスターですので」


((((お前ギルドマスターだったんか!))))


「そうなんですね。試験免除、ありがとうございます」


(なんでギルドマスターが受付嬢をやっている事実に驚かない!)


「いえいえ、むしろこの犯罪者に刑を下してくれてありがとうございます。この方々は盗賊や人殺し、強盗などもやる犯罪者でしてね。しかも変装スキルを持っていて殺した方の名前を使うのでなかなか捕まらなかったんですよ」


(そうだったんだ)

(情報収集能力エグいな)


「そうなんですね。煽りと剣を抜いたことに対する正当防衛のつもりだったのですが結果的に良かったんですね。あ、私の考えの通りだった、つまり煽りに対する正当防衛としては問題ないですよね?「刑を下してくださり」とか言ってましたが、正当防衛ですよね?過剰防衛じゃないですよね?できる限り弱目の魔法を使ったんですが…過剰防衛でしたら今度はそこまで上手くないーーそうですね、ヘルドラゴンを倒す程度な物理の方で倒します!」


(ヘルドラゴンって伝説では神をも倒したって…)

(確か発見したけど念話も途中で途切れたことから半径98ペソナは察知できるって噂ね)

(あとなんかヘルドラゴンを予知した年に謎の大きな魔力を持った奴がギルド本部のサーチ内に出て、慌てていたら1時間後に謎の死を遂げていたって噂も…)


「あ、それは私が倒しましたよ。5年くらい前の白月水の日のことですよね」

「え、合ってるけど…今ギルドマスターと話しているんじゃ」

「ええ、本体は話しています。私は分身です」

「分身⁈」


(え、分身って確か超高難易度魔法じゃない⁈)

(でも、まだ発見されてない〈ヘル〉の字を冠するヘルゴーレム?とやらを召喚してたし…)

(とりあえず、とてもこの新人が凄い事はわかった)

 意外と人族の魔法は応用が効いているだけであって、魔法自体のレベルは低いのかな?

 だからこそ魔法の応用にリソースを割けたのかな。

 あ、変な方向に考えちゃった。


「あ、貴女が倒したんですね、伝説のヘルドラゴンを…」

「そうですよ〜」


 周りの人たちは何を言っているんだろう?

 ヘルドラゴンくらいそこら辺にいるし、ヘルドラゴン以上に強いやつなんて沢山いるし、伝説でも強くもないよね?

『はぁ〜

 ベルはまず人族の常識を学んだ方が良い』

 え?何も私はおかしくないよね?ね?

『……』

 何か言って!


「あ、もう良いですか?さようなら〜」


 シュン

(え、何⁉︎)

(消えた!)

(分身終了ってこんな感じなのか…)


「あ、今の魔法スキルで問題ないですよ。殺さなければ問題なし!です」


(((((それで良いのか⁈)))))


「そうなんですね、了解です」


(少しは疑え!)


「あとはこの魔法水晶に触ってください。冒険者カードが生成されます」

「わかりました」


 この水晶を触ったら私も冒険者デビューか〜

『ベルを除いて『タイムストップ』ベルに『空間固定』!』

 ほぇ⁉︎エリス、急に何さ!

『ベル、不用心すぎ。カードには職業などが表示されるし、ギルドにも送信される。魔王なんていう職業を晒す気?』

 え〜じゃあどうすれば良いの?

『隠蔽スキルとしてもの最上位のスキル、『魔王はなんでも知っている』を使って。困ったら『魔王はなんでも知っている』に頼れば大体なんでもできる』

 超便利だね!さすが初代魔王様と私しか使えないだけある!

『ベルは動けないから…『個体名エリスが使用『魔王はなんでも知っている』』スキル隠蔽+偽造。スキルは人前で使ったスキルとレベルまで表示。使ったらすぐ追加。職業 賢者に変更』

 ちょっと待って、職業変更しなかった?そうしたら『魔王はなんでも知っている』ーーエリスと話せないじゃん!

『『魔王はなんでも知っている』はカナシャとヘルシャしか使えない。つまり魔王スキルという枠組みではないということ。だから使える。職業を賢者に変更したのは人族に紛れ込む上で都合が良いから』

 そうなんだ?私はよくわかんないけどエリスが判断したなら良いってことだよね。

『スキル解除する』

 あ、動かせるようになった。水晶に触ってっと。

 ピシッ

 え?水晶にヒビが入って…

 パリン

 割れた?!あ、でもカードは生成されてる。


「あー壊れちゃいましたね。でもカードが生成されたのでOKです!」

「あ、大丈夫なんですね」

「あ、ランクもCスタートです!期待の新人として頑張ってください!」


(ギルド規定は…?違反だよね)


「ありがとうございます」

「後、その口調だと金目的で狙われるので注意してください。受付は冒険者になったお忍びのお貴族様の対応などもするので特別です!」

「わかり…わかった」

「バッチリです!では冒険者、頑張ってください!」

「はい!」


 そう言って、私は冒険者活動をスタートしたのだったーー


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 こんにちは!

 作者の白雪氷華です!

 本当は全話5000文字越えを目指していたんですけど…

 きり時かなと思って終わりました!

 今回5000文字超えなかったのでこれからも5000文字超えなくても良いかな〜

 なんて悪魔の声が耳元で囁いています!

 現在悪魔に流されそう!


 この作品を読み続けてくれたら嬉しいです!


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 こんにちは!

 後の白雪氷華です!

 第1話と同じように改行を入れてみました!

 だけどこの2話はエリスとの会話が多くて、エリスの前後にも改行を入れてみようかな?と思っています。

 試行錯誤中なので、コメントで教えてくれると嬉しいです!

 以上、白雪氷華でした〜


 あ、コメント稼ぎってバレた?

 でも教えて欲しいのは本当だから!ね?

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私の所属パーティは魔王討伐が目標!~実は私が魔王です~ 白雪 氷華 @kakakekakekekakekake

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