第2話 何も無かった

 お化け屋敷――そう聞いてあなたは何を思い浮かべますか?

 これは、そんな場所に行った私に起こった出来事です。


 小学校高学年の頃、私は数人の友人と共に近所で「お化け屋敷」だと有名な廃屋に探検に行きました。

 窓もドアも壊れていて、入るのは容易でした。

 中は荒れ放題で、腐った畳と壁に書かれた落書きが印象に残りました。

 しかし、中は少し薄暗い程度で、何もありませんでした。

 友人たちは次々に文句を言い、全てを見終わると退屈そうにそこを出ました。

「結局、何もなかったな」

「そうだな……どうせ噂だけで単なる人が住まなくなった家だもんな」

 そんな会話をしたことは覚えています。


 後年、私は遠方に就職することとなり、地元を離れて独り暮らしを始めました。

 その後、その時の友人から突然電話がありました。

「なあ……俺たち、小さい頃にお化け屋敷に行ったよな?」

「ああ、そうだよ」

「それがな……無いんだよ。誰に聞いても、そんな物無かったって」

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