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異端者
第1話 短気は損気
私は小さい頃、近所の公園でK君と遊んでいました。
今と違って気さくな雰囲気の時代で、子どもたちで遊んでいるとお年寄りがお菓子をくれたりすることもありました。
その日も、老人が私たちの前に現れました。老人の顔に見覚えはありませんでした。
「いいねえ、子どもは元気で」
老人は私たちにそう呼びかけました。
「こんにちは」
私たちはブランコを漕ぎながら老人に挨拶しました。
「ああ、こんにちは……よしよし、おやつをあげようね。こっちにおいで」
私たちがブランコをやめて行くと、飴玉の包みを渡されました。
「一つずつあげよう」
「ありがとう!」
私は口に入れると少しずつ舐めましたが、K君は一気にバリバリとかみ砕きました。
途端にK君の悲鳴が上がりました。
とっさに飴を吐き出してK君に走り寄りました。老人は消えていました。
近所の人の通報から救急車が来て、飴の中の農薬を飲まされたのだと知りました。
もし……私も飴をかみ砕いていたら――
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