第13話 修羅場

九十九つくもと寝てた。九十九つくもと寝てた。九十九つくも寝てた。つくもと、つくもとつくもとつくもと………」


 マクスウェルは寝起きからでDie《ダイ》ピンチだった 研究所で一本しか無いははずの包丁を両手で握りしめ。未だに、つくもと、つくもと、つくもと、と呟き続ける呟き続ける絶世の美少女である男の娘。

 人形めいた美形の為、鬼気迫る顔はホラーである。部屋を覆いつくさんばかり憎悪が煮詰めた殺気。破裂する飴細工よりも繊細な対処が必要。

「そうだこうしよう、近々二人はこの国の王様に会うことになった。そこで礼服に身を固めた二人が勇者とその婚約者として登城するというのは!」

「うるさいなぁ」

 当事者が起きた。ぼやぁとした視線をで周囲を見渡すと、マコトに焦点が合う。

「おはよう、真琴」

 サッと包丁を背中に隠すマコト。

「お、おはよう」

「アレ、いつ寝たんだろ……。なんで俺の部屋にマクスウェルがいるの?なにこれ酒瓶?」

「あ、あははは、ごめんなさい好奇心に負けました」

「この世界の常識じゃ分からいけど、俺未成年だからね?酒飲ませるだけで犯罪なんだよ?」

「そうなのかい? 異世界の常識はシャングリラの非常識だねぇ……」

 ツクモの酒の強さを調べて命の危機に陥るとは思わなかったようだが、殺るならとっくにそうなっているはずだが、それはマコトに飲ませたカプセルに入っていたナノマシンの影響で出来ないのだが……。それがなかったらとっくに殺されていたはずである。過去の自分グッジョブ。

「殺気の残り香するけど、なにか有った?」

「な、なにも無いよ……?」

「マクスウェルと一緒に寝て。何事も無かったのが一番疑問なんだけど?」

 長い付き合いであるツクモとマコトである。バレンタインデーで伝説を作った事もある。あれは悲しいというより凄惨な出来事だった。

「なんで身体動かなっただろ……」

 ボソリと呟くマコトにマクスウェルは冷や汗が流れる。洗脳がやりやすくなったりする危ないものだが、マッドサイエンティストのマクスウェルは当然人権などという

良心があるはずもなく。

「マコト君の最後の良心というか、ただ単純にツクモ君に私の血が掛かることを良しとしなかった、だけだと思うよ?」

「そうかな? そうかも?」

「お腹へった……」

 いつもの事とツクモは暢気のんきだった。

「そうだね。朝食にしよう」

「カロリーバーは食べた気しないだよな……」

「研究中は便利だよ? 手も汚れないし」

「食に興味持てよ」

「栄養が取れればなんでもよくないかい?」

「だめだ早く何とかしないと」




 

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未確認飛行物体衝突による次元の裂け目、異世界についてのレポート 神城零次 @sreins0021

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