第9話 超初級ダンジョン攻略録
ダンジョンの中の内側は洞窟状になっており、ところどころ光る石があって視界は良好だ。問題はモンスターは弱すぎて物足りなさがある。
「スライムって鑑定では打撃無効のはずなのに踏むと潰れるんだね」
「打撃じゃないからな」
ダンジョンは小さなグリーンスライムしか出てこない。ゴブリンは超初心者ではなく初級でもなく中級ダンジョンからなのかもしれない。死者ゼロがウリの超初心者ダンジョンは下手をしたら地球の園児が泥遊び感覚で殺されてしまう。スライム的には地獄の環境ではなかろうか……。スライム泥遊び大好き幼児のレベルはいくつなんだろうか。
安全マージンを取り過ぎて、まさかの超ヌルゲー、ボスに期待するしかない。
「何やってんの、九十九?」
「ステータスブレスレットのマッピング機能の確認。自動なのか、歩いた数なのか、人と共有するのか、とか色々」
「マメだねぇ」
王道ロールプレイングゲームでツクモは登場人物全員と会話する男である。ヒントが隠れているかもしれない、サブクエストが発生するかもしれないと、一応確認するのだ。マップも気になるなってしまうのだ。
マップのマッピング機能は共有しないこと、部屋に入ると自動で部屋としてマッピングされるを確認した。
「なんだ、この道……」
マップに不自然にある行き止まりの通路。とりあえず行ってみる。
「定石なら隠しボタンの一つでも……」
そう言いながら壁をペタペタと触っていく。横の壁の穴に指を突っ込むと目の前の壁が横にズレた。
「へ?」
未開拓領域がそこにはあった。宝箱もある。
「ここまで来て罠は止めてくれよ~」
宝箱を開けると二つの黒い石が入っていた。
「なんだコレ?」
「鑑定して見ればいいんじゃない?」
マコトに言われた通り鑑定スキルを使うと
<超初心者の証>
<効果:獲得経験値五倍>
まさかの今風ゲーム風に言うねらゴット級のレアアイテムだった。
「内緒にしよう……」
「異議なし!」
ちょうど二つある。二人で分ければ誰も損はしない。誰も見つけられなかった部屋である。完全犯罪だった。
その効果はボスを倒した時に現れた。10以上レベルが上がったのだ。二人はステータスブレスレットの機能を全て調べてレベル隠蔽機能がある(本来は低すぎるレベルを隠す為)を発見し、ガッツポーズを決めた。
超初心者ダンジョンから帰って来た二人がやけに機嫌が良いことが気になったマクスウェルだが、モンスターを倒すという地球では味わえない体験だったのだろうと解釈した。次のダンジョンは初心者ダンジョンにしようと二人で決めた。初心者ダンジョンの隠し部屋探し宝箱を発見する。柳の下の二匹目のどじょうを狙うつもりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます