第7話 異世界の料理
異世界の料理は煮るか、焼くか、料理人でも炒めるだけだった。ミキサーなんて論外だ。何故持ってるとツッコミたくなる。ちなみに出回ってはいないらしい。謎の魔石動力式というこの世界では当たり前のエネルギーで動いている。
「美味しいねぇ、地球の料理は」
肉野菜炒めのどこが珍しいのか、ミキサー御用達のマクスウェルには分かるまい。帰って来た時は手ぶらだったので殺気を込めて胸ぐら掴もうとしたら、ステータスブレスレットのアイテムボックスに入れてあると答えた。この世界では手ぶらで買い物が当たり前らしい。ステータスブレスレット様様だった。他に通話とメール。モンスター討伐時に魔素の吸収による身体強化。形式美で言うとレベルアップするらしい。魔物はダンジョン以外に野良でもいるらしく、ダンジョン内のモンスターより弱いとのこと。
「ダンジョンは複数有ってね攻略されたダンジョンも有れば、新たに産まれるダンジョンもある。これは倒されたモンスター飽和された魔素がダンジョンを産んでいるとも言われていてね」
「飯食うか、話すか。どっちにかしろマクスウェル」
「…………」
「九十九、パンおかわり」
ただの塩コショウの振った肉野菜炒めが人気なのが若干意味不明なのだが、マクスウェルは話すのを止めて食事に戻った。ご飯じゃなくパンなのが何とも言えない気分になる日本人特有の価値観で、せめてもの抵抗としてパンを割って肉野菜炒めサンドにして食べる。
「画期的な食べ方だな。真似するとしよう」
固いパンはスープに付けて柔らかく食べるのが王道の異世界ファンタジー物だと思うのだが、これはこれで美味しい。歯ごたえがかえってアクセントになって美味しいと思う。
「ダンジョンにはモンスターが居るんだよな?」
「うむ、代表的なモンスターと言えばスライムにゴブリンだろう」
王道が来たな。
「スライムは同個体が分裂した物であるという説と母体となるスライムから産まれるいうの二大学説があってだな……」
いや、そこ? 学者的には気になるんだろうけど、そこなの?
「スライムは弱い子供のレベル上げにもってこいだ。ゴブリンは違う、アレは年月、経験で成長すタイプのモンスターだ」
おお、さすがゴブリン〇レイヤーなんて小説本が出るほどメジャー級ゴブリン。一味違う。ド〇クエにも出てこないレアモンスターだけある。
「このゴブリンは、実は別の異世界の住人で独自の文化があるのでは?という説が有ってね、人間の女や男をさらうのは交配実験をしているとも言われているんだ。またオークとも友好関係で、人間種の言う所の女しか産まないアマゾネスと類似点がみられるとも……」
マクスウェル、いちいち学問に引っ張られて説明するの止めてもらっていいですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます