第6話 ステータスブレスレット
マクスウェルの研究所は地下にあった。機械的な明かりで照らされ、何時だか分からない。この研究所には時計が無いらしく。マクスウェルも時間を気にしていない。
検査の終わった二人はマクスウェルからブレスレットを貰った。装飾品の類ではない様だ。
「これはマコト君のしているスマートウォッチの異世界版みたいなものでね。身長体重、年齢を入れると勝手に自分の身体的特徴を数値化。まあ形式美としてあえて言うとステータスが分かるんだ」
その言葉にマコトはキラキラと目を輝かせブレスレットを右手首にはめた。左にスマートウォッチが在る為だ。一方ツクモは胡散臭そうに左手首にブレスレットを身に付ける。
「おや、マコト君には魔法の適性があるみたいだね。系統は回復、支援か、でも身体能力はハッキリ言ってゴミだね」
「癒し系って言って!」
「ツクモ君は……。なんだいこの数値は耐久力、腕力、素早さ、器用さ。知恵、魔法適性が無い以外化け物じゃないか」
日頃の鍛錬が数値化されただけでツクモに驚きは無かった。地頭は良いし、運動神経、反射神経は元より。経験に裏付けされた体は全身凶器だ。
「ツクモ、カプセル飲まなかったの?」
「注射で充分だろ。魔法なんて最初から持って無かったんだから問題ない」
「じゃあ、私が支援魔法かけてあげるね!」
「いや」
いい。という前にマコトの足元のに魔法陣が浮かび頭に呪文が浮かび上がる。
「神の息吹を今ここに強靭たれ、フィジカルアップ!」
ツクモのブレスレットの数値が大きく引き上がる。ざっと全体的に三割増しになっている。
「へぇ、凄いな。これほどとは嬉しい誤算だなぁ……」
「……」
「凄い? 凄い?」
はしゃぐマコトとは正反対にツクモはその場で何か言う事は無かったが、不満そうな顔だった。マクスウェルのそれは実験動物の結果に満足している研究者の顔だったからだ。
「そろそろ食事にしよう。二人ともお腹は空いているかな?」
ツクモの背筋に凄まじい悪寒が走る。きっとマクスウェルは栄養重視、味、見た目度外視のメシマズ女だと直感が警報を鳴らしている。
「マクスウェル、こっちの食材と調理器具に興味がある。教えてくれないか?」
「そんなの食材をミキサーに入れてスイッチを押せ……」
ば、とは言わせ無かった。大至急包丁と鍋だけでも買って来いと怒鳴ったのは間違いでは無いだろう。塩さえあれば何とかなる、多分だけど。
高級食材を使った三ツ星シェフとはいかないものの、せめてマコトの食べられるものを作ろうと決める。ダイジョブ、マコトはカップ〇ードルでも美味しく食べられる舌だ。なんとかなるし、何とかするしかない。
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