第4話 それはHENTAIの国日本では当たり前であるらしい
マコトはツクモより早く目が覚めており色々まくし立てたというが、マクスウェルの言いたいことを要約すると、美少女なのに外見と性別が一致しない。で、ある。
異世界に男の娘の概念がない事をツクモは知った。確かに中世ヨーロッパ的王道異世界モノの知識には無い概念であろう。
「付いていてお得とは?どんな概念なのかな!」
「チ〇コが付いていて可愛いってお得だなって意味だ」
「男性器があるのがお得なのかい?理解出来ない……」
「まあ、俺も良くは知らないけど、こんなに可愛い子が女の子のはずがない、って格言が俺の国には有って……」
「可愛いなら女の子でもいいのではないかい?」
「だから、付いていてお得なんだよ」
「……。言ってる意味が分からない」
外国人観光客。漫画大好き、アニメ大好きなニキたちもが困惑する概念。
男の娘。
異世界人に分かろうはずもない。
「理解出来なくていい。可愛い男の娘は大変貴重なんだよ。ちゃんとジャンルとして確立してる」
「分からない事が分かった。で、彼の要望が少しばかり複雑でね」
「なんだって?」
「TS薬は無いのか、と聞いてくるんだ」
反応に困る。現実世界にも女性になってしまう病気はある事にはある。自然界には性転換する生物は沢山いるが、性転換薬となるとどうなんだろうと、思ってしまう。異世界の科学力(?)に期待するしかない。
「なんだTS薬とは性転換する薬の事かね。ダンジョンから出れば出るんじゃないかな。そんな報告も事故として処理されるし」
「異世界的には事故扱いなのね」
「それはlそうだろう。産まれた性と逆になるんだから不都合があってしかるべきだろう」
「ジェンダーレス。多様性の時代に何言ってんだと、ツッコめばいいのかな?」
「ジェンダーレス?」
「いや、気にしなくていいから」
ダンジョンってそういう所は異世界なんだなとか思う。宝箱がランダムボックスかガチャなんだろうか?
「この世界ってなんて呼ばれてるるんだ?」
「シャングリラだ」
「……。微妙」
「なんだ! 私が付けたわけじゃないぞ!」
なんか急にマクスウェルがポンコツに思えてきた。この世界の普通がどの程度なのか、その目で見るまでは判断出来ない。
今はマコトの安否を確かめなければ。マクスウェルが扉に立つと壁に手を付いた。指紋認証だろうか?
「厳重なんだな」
「未確認のウイルスでこの世界の種族が全滅したらコトだからね」
「コロナ禍で思い知った。パンデミックは怖いもんな」
プシュっという音を立てて扉が開く。
「マコト君には血液検査等、色々な検査で安全を確認中だ。ゴーレムによるオートメーションだから終わるまで待ってくれたまえ」
床から突如テーブルとイスがせり上がってくる。これは科学なのか魔法なのか。
「あぁ、進み過ぎた科学は魔法と同じ、そう君の記憶を見たのだが?」
「記憶を見れるのかよ!」
「いやぁ、地球の発想力には興味が尽きないよ」
「こういう所はマッドサイエンティストなんだよなぁ。脳内スキャンとか」
「あ、二人の脳には圧縮学習としてこの世界の言語を刷り込んであるよ?」
「は?」
いきなり投下された爆弾発言に出されたお茶の味が分からなかった。
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