第12話 美しい景色

「それにしても、どうやって特異魔法使いを特定し、私たちの身をどうするか......。」


 セーラさんは俯いている。

 何も手がかりの無い状態だ。この絶望はセーラさんが一番分かっているだろう。


「取り敢えず解散にしませんか?今悩んだってどうしようもないので」

「そうだな、こればっかりはもう少し探ってからまた話し合おう。」


 瑛の提案にエリシャさんが賛成する。

 僕とセーラさんも頷き、この場は一旦解散という事になった。


 ◇


「瑛さ〜ん大好き〜!」

「お、おう」

「女王の前ではこんな事できませんから〜っ!」


 エリシャが腕に抱きついてくる。

 エリシャは、あの日出会ったときからこんな感じ。

 雨上がりのびしょ濡れの地面に座っていた彼女を家に連れ帰ったのだ。

 いきなり「運命の殿方!」と抱きつかれた時はびっくりしたが、さっきの話を話を聞いたら納得でき............てたまるか!

 大体、あんな話本当なのか!?


「なぁエリシャ。さっきの話本当なのか?」

「勿論本当ですとも!とても信じがたいことですがっ!」


 まぁ良いや。今更疑ってもどうしようもないことだし。


 ――――ブォンッ!


僕の目の前に、幻想的な風景が広がった。


「な、何なんだ、ここは......」


 ◇


「偉於〜っ!」

「ちょっ、セーラ!?」


 さっきまで物凄く険しい顔をしていたのに打って変わってニコニコだ。


「エリシャの前ではこんな事できなかったから〜、発散させてもらいま〜す!」

「い、家に帰ってからにしてくださいっ。周りに人も居ますから!」


 郊外とはいえ、住宅の建ち並ぶ場所で騒ぐのは迷惑だ。

 すれ違う人に変な目で見られるのも嫌だし。


「帰ったら、ちゃんと構ってあげますから」

「そーいうことも、してよね?」

「そーいうこと?」

「女の子と一つ屋根の下で暮らしといてさ〜、ね?」


 っっっっ!

 自分でも顔が熱くなってくるのが分かる。


「おっと、偉於もそこまで鈍感じゃ無かったか。」

「ど、どこでそんな事を・・・・・・」


 ――――ブォンッ!


気づいた時、僕の目にはこの世の物ではないような、美しい景色が映っていた。

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逆転生女王様、魔法が使えないヒロインです 音心みら🍀 @negokoromira

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