もしも一条がいなかったら

「ねぇ、一条がいなかったら私たちの人間関係ってどうなってたんだろう」

 今日は所謂女子会。七瀬がふと呟いた内容に私は気になった。

 ふむ、アイツに狂わされて人間関係が滅茶苦茶になったから気になる。

 私、金船真帆は特にそういうのが無いから影響が無いが

 彼女たちは違う

 結果的に全員脱出出来たとはいえ、元に戻ったかと聞かれれば戻ってない。

「私は特に問題ない。」

「え”!?・・・あ、これが令嬢状態」

 どうも令嬢として生きてきた関係上、口調は固いし冷徹な物になるから

 今みたいに威圧してしまう。というより無神経な状態でもある。

 だから私は受けの良い自由奔放な異端児で活動するんだが・・・

 今の彼女達なら大丈夫と思って素を出してみたが、出しても大丈夫そうだな。


「今古賀はどうだ?」

「えっと・・・大海君の力を借りて、結月ゆづきさんと仲直りしました」

 前ほどとはいきませんがと語っているが、改善が図れたのは何よりだ。

 今古賀が一番孤立してマズかったからな。

 しかも私じゃ解決できるのは金銭面のみ

 精神面や学生生活では大海に任せるしかなかった。


「ふむ、改善できてるのなら何よりだ。七瀬は?」

「私は皐月に絵を見せられるのならそれでいいやって」

 それ以外だと芸術関係以外の交友は元から問題ない事

 将来の芸術家にゴマすりとしてた人との関係はばっさり切ったと七瀬は語る。

 芸術家は売れれば凄いからな、売れれば。

 むしろ今の方が売れそうだと思うが・・・

 それは世間の見る目によるか


「富士本は?」

「うーん、まあ男共が散ったから万々歳よ、同性なら元から可愛がられてたし」

 ただ妹と言ってくるのは不服だけどな!とそこは不満を表している。

 ちなみに護衛に観察を頼んだら、男共は魂が抜けたかのように無気力らしい。

 白金のように思いを伝えていたらそんな目に遭わずに済んだものを

 好意を照れ隠ししてコンプレックスを刺激するからだ。


「・・・聞く必要ないと思うが念のため。雨宮は?」

「一条と関わる前の関係であれば悠と友梨ちゃん以外どうでもいいです」

「・・・男にもててたらしいが?」

「いりません気持ちの悪い。くたばれ」

 あ、あまりにバッサリ・・・冷酷過ぎる。

 私が威圧されるってよほどだぞ・・・

 東谷から聞いた時はげんなりしてたと言ってたが

 もしかして一条の呪いをもってしてげんなりで済んでただけで

 本来の感情は東谷以外の男を敵として見てないかこれ?

「今はこうやって交友関係を拡げる事が出来て嬉しいです

 なので大海君達とかは会話ぐらいなら問題ないですよ」

 縁の出来かたがちょっと複雑ですけどもと語る雨宮。

 ・・・今更だが、よく東谷これについて行けるな

「ちなみにこれ悠知ってますよ」

 ・・・真面目にご祝儀、上限いっぱいに出そうかな。


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