文化祭前日

 文化祭もいよいよ大詰め

 スーパーボールの難易度はポイを数種類用意で調整

 意外にも遊助が担当した。

 子どもには強いポイを3つ

 中学生以上には普通のポイを1つ

 チャレンジは脆弱なポイを2つとのこと。

 子どもは1つ目を力任せにして壊す

 2つ目は慎重になっていつか壊す、3つ目は泣きの1回に対応。

 普通のポイはしくじったら終わりとほどよい緊張感。

 チャレンジはあまりの弱さに初見殺しされるから

 その弱さを認識してもらう為に2つにしておく。

 簡単過ぎても難しすぎてもダメ、丁度いいが面白いっていうのが本人談。

 

 ただこれだと回転率が悪くなるから

 すくい場を3つほどに分けるのが良いとクラス会議で決まった。

 

 看板の方は完成した

 ポイでスーパーボールを掬い上げてるのと破れて落ちていくもの。

 参加賞ありとチャレンジもあると触れ込みをしている

 出来た事で絵具等の美術部に返しに行く。


 入るとまた七瀬さんと皐月信敢さつきしんかんさんがいた

 夏休みの拉致と風景画に囚われて

 物静かにいた同級生である彼の事が頭から抜けていた。

 七瀬さんはあの時の風景画を描いてる

 違うところは同じような風景画が、何枚もあるところだ。

 雫はそれが気になったのか七瀬さんに話を聞いてる

「七瀬さん、出来た絵が何枚もあるのにまだ描くの?」

「…、納得いくものを描きたいから」

 納得いかないから何枚も描くだなんて七瀬さんはストイックだなぁ。

 そういえば眺めてるだけの皐月君に話を振ってみよう。

「皐月さんはずっと眺めてるけど、どういう感じで見てる?」

「そうだね、形になっていく作品と

 これでいいのかっていう葛藤に苦しみながらも

 自分の作品と向き合う姿は美しいと思うよ」

 僕にはない感性だ。その中で七瀬さんに惚れた何かがあるのだろうか

 納得できずに何度もやり直す姿とか?

「自分はどうも絵や何かにするのがからっきしでね。

 そういう意味では七瀬さんの作るものはずっと眺めてても退屈しないよ」

 本人を目の前にべた惚れな発言だなぁと思う。

 これで七瀬さんがハーレムメンバーから抜けてないのはなんでなんだろうか


 なんか邪魔しちゃ悪いと言うか、なんか

 そう、寒い、恐怖、と言ったものを感じた。

 用事を終えた事だし、雫を連れて美術室から出た。


 そして皆が待ちに待った文化祭当日。

 普段学生が登校している所に

 招待された友達、学生の家族が文化祭を楽しみに訪れる。


 その中にちょっと異質な人たちもいる。と言っても、スーツ姿の護衛だ。

 そういえば金船先輩、令嬢だったなと思い出す

 普段の破天荒っぷりで忘れていた。

 流石に一般も入ってくるからか、護衛といる。


 ただ金船先輩にとっては普段してる事ができないからか

 近くに護衛がいるのが面白くないのか

 げんなりした様子をしている。っとこっちに気づいてやってきた。

「東谷ちゃーん雫ちゃーん、私を攫ってー・・・」

「護衛に喧嘩売りたくないので無理です」

「悠と同じく」

「わ、私とは遊びだったのね・・・!」

「遊びも何も良くて友人です」

 ばっさり切ったら項垂れた。なんか調子狂うなこの状態の金船先輩。

「お嬢様、学生以外もいる状況です。諦めてください」

「はーいはい分かりましたでございますんよぉ!」

 その代わりこき使うからな!と護衛にふてくされるように言っていた。


 何はともあれ、文化祭が始まった

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