卒業式
3学期、バレンタインやらホワイトデーやらはあったが
特に何かあるわけでもなく、楽しい日常を過ごした。
そして3月
卒業生を見送る卒業式に出ている
在校生として。
「・・・なんで金船先輩が在校生側にいるんですか?」
「そうですよ、流石に非常識だと思います金船先輩」
僕も雫も、在校生も卒業生も、彼女の奇行に困惑している。
「ん、ああそうだな。そういや言ってねえや」
そう言って金船先輩はあっけらかんと答えた。
普通、恥ずかしさの余りにここにいてられないと思うんだが。
「わりい。留年しちった」
・・・・・・・
ええええええええええええええええ!?
卒業生も、在校生も、その内容の告白に驚きの余りに絶叫した。
「最後まで飽きさせないね金船先輩」
「・・・ホントに」
卒業式で日々の思い出を振り返り、思わず泣くような式になるはずだったのに。
金船先輩の留年の告白で、こんな認識になった。
財閥の令嬢であってもダメな時はダメなんだなと
気を引き締め直させた
と言いたい。言わさせてくれ。
「雫ちゃん!東谷ちゃーん!助けてくれー!」
そう言って金船先輩は僕に抱き着く
だが動揺せず金船先輩を突き放すように言う。
「離れてください金船先輩。見苦しいです」
「薄情者!私とは遊びだったのね!」
「いえ、自業自得です先輩」
ジト目にしながら雫がそう言った後、すぐさま誰かがやってきた。
「お嬢様、目代会長のお怒りをお受け下さい」
「嫌だー!私は自由に生きるんだー!」
誰かー!私を攫ってー!っと叫ぶのを護衛が無視し
金船先輩を引っ張ってどこかに行ってしまった。
恋人がいるが、表向きはまだダメなのだろう。
で、引っ張ったのはおそらく目代会長が寄越した部下かな
だから金船先輩の言葉に耳を貸さないのだと思う。
「私たちもこのまま順調にいけば卒業かぁ」
「そうだね、早いなあ。もう後1年しか無いよ」
「それだけ2年生が激動の日々だったって事ね」
「ホントにね・・・」
夏休み前の一条の為に動く日々
明けた後、一条との絶縁に、雫との日々
イベントだらけだった2学期末。
おそらくゆったりしていたのは3学期だけだろう
「次はゆったり・・・って言うには、まだ早いか」
「だね、就職か大学に進学か」
「改めてどうするか家でゆっくり語らない?」
「そうだね・・・僕の家に来る?」
「・・・うん、ゆっくり、語ろう。今は時間があるから、さ」
そう言って僕と雫は帰路に着く
お互い手を取り合って、一緒に家に向かって歩いて。
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