カップル
競技の中で個人戦はある
その中で2-Aは必ずでてくるのがいる
一条誠
ハーレムを作り、そして今それが崩れそうになっている男
ソイツが今、お前らとは格が違うんだよと言わんがばかりに
出場した全ての競技において1位になっている
「悠。お弁当どこで食べる?」
「今日はどこでも良いんだっけ。そしたらあの木陰になってる所で食べない?」
アイツの頑張りなんて興味ないので
どこで食べるか訊ねる雫と食べるところを決めていた
「分かった、お弁当楽しみにしててね?」
「雫が作るのなら何でも楽しみだよ」
「東谷、頼む、俺も、混ぜて・・・」
死に体となった遊助が助けを求める様な言動をしている
連日の寝不足と運動不足が祟ってるようで、思う様に動けないのが見て取れる
「悠、あれほっといて良いの?」
「自業自得。コイツお願いしていい?」
「バッチコーイ!」
「薄情者ー!友情より彼女かー!」
「そうだけど、何言ってんの?」
「はーい恋人の間に入る馬鹿者には個人戦と言う素敵な物をプレゼントよー」
「嫌だー!死にたくない!死にたくない!東谷!助けてくれー!」
うわあああ!と大袈裟な悲鳴を上げながら出場する科目になった遊助は
クラスメイトに引きずられながら入場門まで送り届けられた
結果は1位と一周差をつけられるんじゃないかって程の最下位だった
午前のプログラムが終わり、お昼休憩によってお弁当タイム
思い思いの所で皆が食べる中、僕らは決めていた木陰の元で食事をしていた
「いただきます」
「いただきます」
「今日は体育祭だから、お肉多めと味付けがちょっと濃いよ」
「その日の状態を見て考えてくれるの、とても嬉しいよ」
そう言ってお弁当の蓋を開けた
内容はウィンナー、卵焼き、生姜焼き
ほうれん草の胡麻和え、ミニトマト
米飯の上に鮭が乗っていた
「はい悠、あーん」
「あ、あーん・・・」
そう言ってお弁当の卵焼きを食べさせてくれる雫
「美味しい?」
「そりゃ雫が作るのならね」
そう言うと良かったと喜ぶ雫
からかい半分に僕もお返ししよう
「じゃあ僕も、あーん」
「え、あ、あーん」
予想してなかったのか、顔を赤くした雫が卵焼きを頬張る
「美味しい?って言うのはなんか変か」
「う、うん、ただいつもより甘くて美味しいって感じたかな・・・」
そう言って指で自分の髪の毛を弄ぶ雫
そう二人で仲良く食事をしていた所
「あ」
「あちゃー先約がいたか」
「ん?」
「あ、富士本さん。大丈夫よ、こっち横にずれるから。ね?悠」
「そうだね、ここ大丈夫だよ」
「すみません雨宮先輩、気を使わせて」
「先輩方、どもっス!」
さっき二人三脚で男女ペアだった男の子と富士本司が
ここでお弁当にするみたいだった
良い感じの仲だったから、それの不和を招きたくなかったので
二人を歓迎した
「いやー凄かったっすね二人三脚!」
「そうかな?」
「そうっすよ!
だって周りが掛け声してる中、全力疾走に近い走りだったじゃないすか!」
そう言って僕たちの走りを称賛する男の子の名前は
素直な良い子
それが僕が白金直人に抱いた第一印象だ
褒められて悪い気はしない。僕も彼を褒めよう
「君も凄いよ、富士本さんの歩幅を合わせる様に走ってたじゃないか」
あんな身長差があったのにと言おうとしたのを慌てたように手で口を塞いできた
え、急になんだ?
「そこ褒めてくれるの嬉しいです先輩、でも・・・」
そう言って富士本さんと雫には聞かれたくないのか、耳打ちするように語る白金君
その内容は知らなかったとはいえ、僕が悪いものだった
「できれば、富士本さんの身長に触れないで上げてほしいです
コンプレックスなんですよ身長に触れられるの」
「え、そうなの?」
「はい。妹だなんだと女として見られないのが、彼女にとって屈辱だったらしくて」
「そういう事か、ごめん。軽率だった」
「いえ、知ってもらって、そこに触れないようにしてくれるのであれば
俺としても嬉しいです」
そう言って自分がしたことに気づいて、顔を青くした白金君が
す、すみません先輩と謝罪してきたので、素直に謝罪を受け取る
彼女を思っての行動だ、何も悪くない
ただ尋ねてみたい
「彼女とは恋人かい?」
「まだ、でもアタックしてる所です」
「応援する。頑張れ」
お弁当を一緒に食べる仲までいってる
コンプレックスまで知ってるんだ。秒読みと言って良いだろう
「その点についても東谷先輩に感謝してます」
「え?・・・あーなんか僕の行動で火が付いたって同級生が言ってたね」
「それっすよ、一条先輩なんかに渡しません」
「その強い気持ちがあれば上手く行くさ」
ここは、時期にカップルになるだろうな
そうこうしてる内にお弁当タイムを終え、午後のプログラムが始まる
そこでも一条は1位を総なめし、クラス対抗、チーム対抗にも出場し
全て1位に輝いていた
体育祭の結果はAチームの優勝だった
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