こいつ等嘘でしょ(※相葉友梨視点)

 私、相葉友梨は雫ちゃんを家にいれ、私の部屋に招き入れる

 お茶を用意して渡したけど、もう面倒だから本題に入らせてもらうわ

 だって雫ちゃん。東谷君と同じ可能性があるもの

「単刀直入に聞くわ」

 雫ちゃん、アンタ東谷君の事好き?

 そう聞いてみたら、何を突然と焦る様子も無く平然と答えた

「好きよ?何かあれば絶対頼る先って言えるし」

 もうこの内容であの時と同じように頭を抱えたわ


「はい確認ー。異性として見れますかー?」

「なんか投げやりになってない・・・?異性として見れるよ」

 前回と同じこと聞くんだもの、投げやりにもなるわ

「異性として見れるのならさ、なんで彼に迫らないのよ」

「だって、だって・・・」

「だっても何もない。言ってみなさい。笑わないから」

 諭すように言ったら雫ちゃんが俯きながら、弱弱しい声で答えた


 あれだけ一条君の事で振り回したのにさ、ダメだったので貴方にしますって

 そんなの悠を蔑ろにしてるのと同じじゃない・・・?


 しまった、東谷君がOKだったら問題無いと思った。盲点だった

 振り回すだけ振り回して貴方にする

 それは虫が良すぎると思って恋人にって発想になれないわ

 雫ちゃん良い子だからそんな事出来ない。

 な、なにか言わないと。そういえば彼って周りの女の子から良いよねって話を聞く

 え、これマズくない?

「だとしても動かないとマズいわよ。悠を狙う女の子、そこそこいるわよ」

「え?でも悠は恋愛しないし」

 貴女が近くにいたからじゃない!でも

 それでもと動いたら、東谷君が靡く可能性がある

「恋愛してないだけよ!あれだけ思ってくれる男の子だったら

 普通の女の子はよほどが無い限り絶対手放さないわよ!」

 こうなったら荒療治してやる!こんなのほっとけば絶対後悔する!

「言っとくけど、もし彼が私に迫ってきたら受け入れるわよ」

 その間にエッチな事もするでしょうね?

 結婚までしたら幼馴染の特権なんて効かなくなって関われなくなるわね

 そしたらいくら雫ちゃんでも絶対返さないわよ?

 私があるかもしれない未来を語ったら雫ちゃんが絶望するように表情を青くした

「え、やだ・・・そんなのやだ・・・」


「でも・・・やだ、でも・・・」

 たぶん私はうじうじしてる雫ちゃんに苛立ってた

 頭おかしい事を言ったのは自覚してる

「あーもう!アンタが東谷君を家に誘って

 服脱いで襲えばいいのよ!そして朝までしっぽり頑張ればいいのよ!」

「な、なんて事言うの!?は、はしたないにも程があるよ!?」

 顔を真っ赤にして手をわーと振り回しながら言う雫ちゃんを見た時

 思わず私が襲おうかと思った。理性が返ってきて良かったわ

「何?東谷君とエッチな事が出来ないとでも言うの?」

「ゆ、悠と・・・?」

 あの時と同じように聞いてみたら同じことしてくれたわ


 悠が私に覆いかぶさって、その力強い手で私の胸を・・・

 待って、ダメ、今は可愛い下着付けてないの!


 雫ちゃんが耽ってる姿を見て、私は額に手を当てこう思った

 こいつら似た物同志だ。

 なんだったら妄想を口にしてる雫ちゃんの方が酷いと言えるわ

 なんなのこのすれ違いな両想い

 見てて吐き気がするわ。吐いたものは砂糖でしょうけど


「負い目を感じてるのなら良い事教えて上げるわ」

「な、なに?」

「東谷君、雫ちゃんとエッチな事出来ると言ってるし

 鞍替えだとしても受け入れると言ってるわ」

 そう伝えると雫ちゃんが泣いた

 待って!?泣かせるつもり無かったんだけど!?

「え、え!?ごめんなさい!?何か酷い事を伝えたかしら」

「ち、違うの。良いんだって思っちゃったら安心しちゃって・・・」

「じゃあ東谷君にアタックできるわね?」

 今告白しても受け入れそうだけどもと思いながら雫ちゃんの返答を待った

「うん、悠にアプローチするね!」

 満開の花の様に咲いた笑顔で雫ちゃんがそう言った


 初めて東谷君を憎いと思ったわ

 こんな笑顔を独占できるだなんて

 私にも寄越しなさい


 そしてこう思う

 一条によって雫ちゃんが東谷君を思う気持ちを隠されてたのではと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る