ハーレム主人公との決別
雫が覚悟を決めた次の日、雫は放課後に一条を校舎裏に呼び出した
一条が来たのを確認した僕は、雫と手を繋ぎながら一条の元へ向かう
雫の一条関係での最後のお願い
それは決別する為に一人で行くのは怖いから、一緒に来て欲しいという物だ
こんな可愛い願い事なら、いくらでも言って欲しい
一条は雫が僕と手を繋ぎながらこちらに向かってくる事に動揺した
そして雫を睨んでるのが分かる
雫はそれに対して怯みはしても、僕の手を強く握り、前に進む
僕はそれに合わせるように強く握り返して一緒に進み、一条と対峙する
「……浮気の宣言かい雨宮さん」
「アナタは誰とも恋人関係になってないのに
浮気とか言わないでくれませんか?」
一条は雫の行動を浮気だと言うが、ある意味浮気してるのはそっちだろう
僕はそう思いながら、雫は雫で一条に思いの丈を告白した
もっともそれは、あの一斉告白した物とは真逆だが
「私は勇気を出してアナタに告白した。
だと言うのにアナタは誰か一人を選ばない、選ぼうとしない。
それぞれが振りまく好意を蔑ろにして
踏み躙るようなアナタを幻滅し、追いかけるのを止める事にしました。
アナタのハーレムから私は抜けさせて貰います」
雫の力いっぱいに語られた内容に、一条は動揺を隠せずにいる
そして僕の方を睨んできた
「東谷・・・!お前、俺のハーレムを奪うつもりで近づいてたのか・・・!」
怒りの表情をしながら僕に迫るが、そんな訳ないだろ
正直ハーレムに興味なんて無い。苦痛だろうなとさえ思ってるのに
「そんな気はなかったよ
でも雫が見限るのには十分な事と時間が経った。それだけだ」
「お前、いつから名前呼びを・・・!」
「一条と会う前からだよ。
僕と雫は仲の良い幼馴染だから、お互い下の名前で呼ぶのを許可してたんだ。
誤解させたくないから一条の前では苗字で呼んでたに過ぎない」
「・・・え、は?幼馴染?俺そんなの知らないぞ」
今初めて知ったっという感じだ。教えてないからだけども
それでも一条の為だぞ。男の影があると分かったら近づかないでしょ
それとは別に、これ動揺するような内容か?幼馴染だったり腐れ縁だったり
人間関係って色々あると思うんだけども
「言ったら余計誤解しそうだから言う訳無いでしょ
それに最初は雫を彼女にするように逆に推してたと思うのだけれど?」
それも答えずだったけどね
そして雫が一条との関係を切りたいと言ったんだ
これ以上接触なんてさせない
「なんで離れるんだ雨宮さん、俺の事好きって・・・!離れるなんておかしい!」
何言ってんだコイツ。洗脳でもしてない限り普通は離れると思うぞ
雫はと言うと、冷めた目をしながら一条を見ていた。
雫ってこんな表情できるんだな、これ見たくないな
「好意が無くなるほどの事をした。それだけです。話もこれだけです」
終わったから行こう、悠
そう言われて僕と雫は最初から最後まで手を繋いだまま、一条から離れていく
後ろで一条が裏切り者が……!と恨めしく思うような声質で言ってきたが
雫は一条の方に振り向かず、先に裏切ったのはアナタですとだけ言い、後にした
でも謎だな。逆恨みで攻撃したりとか考えてたのに、何もしてこないなんて。
あの即断即決で即行動をしてた姿は幻だったのだろうか
僕はそう思わざるを得なかった。
「あーなんかすっきりした!」
「雫が無事に帰ってきたと思うと涙が出そうだわ・・・」
実は心配で僕らの後ろで待ってた相葉がそう言った
大袈裟だなーとあっけらかんとした表情で言う雫を
相葉はあんなに塞ぎ込んでたらそう思ってもしょうがないでしょ!と言い返してた。
雫はえーとあーととしながら、
そうだ、無事に帰ってきたって言うのならこう言わないと!
と誤魔化すように言った。
その内容は誤魔化されないとね
「ただいま!」
「おかえり雫」
「ええ、おかえりなさい雫ちゃん」
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