例えばハーレムエンドのその先の世界
「分からない事がある」
「どうしたの急に」
考えてる事を口に出してしまったみたいで雫が反応した
思ったことを口にしよう
「いやね、一条のハーレムの事でさ。
女の子が離れたのに、気にした素振りは見せるけど動かないから、つい。
どうなってるんだって思っちゃって」
「言われてみればそうだよね」
そう、周りから女の子が離れたのに動かないのだ。
それでふと気になった事はある
雫から好きになったのは聞いたが、好きになったキッカケは聞かなかったのだ。
今ここで聞いてみよう
「ねえ雫、一条に恋した時の一条ってどんなんだった?」
「えっと、なんて言うんだろう、ちょっと箇条書きさせて」
ノートの使ってない箇所に一条がした事を書いていってもらってると
改めて一条の凄まじさが分かる事だらけだ。
もはやエスパーと言うべき察し能力と人格者
気配りさえ出来てた
だと言うのに、恋愛には適応されないってあり得るのか?
「あ、でも書いてて気が付いたんだけど」
「何に気が付いたの?」
「私達が告白した後から、一条君ここに書かれたの全てしなくなってる」
雫からとんでもない爆弾発言が飛んできた
「・・・え、それホント?」
「うん」
「・・・雫、ハーレムから離れた人達の事聞いてみよう」
僕は雫の事でいっぱいになってて、他の女の子の事を見ていなかった。
共通点があるかもしれない
富士本司と白金直人の所に尋ねに来た
「こんにちは先輩。どうされました?」
「こんちゃーす先輩!」
「こんにちは富士本さんと白金君」
「こんにちは、二人に聞きたい事があって来たんだ」
「聞きたい事ですか」
「俺が言える内容なら答えますよ!」
そう言って、富士本さんに一条に恋した当時の状況を教えて貰う。
雫と同様、ノートに箇条書きをしながら、当時の記憶と思いを遡ってもらった。
そこには夏休み前は富士本さんにとっての好ましい内容ばかりだった
が、それが夏休みを明けたらそれらが消えたと語っている。
雫と違う所は妹系には触れていなかった事ぐらいだ
白金君はそれはそれとして、不気味に思う事があると伝えてきた。
それは僕と同じように
彼女か俺に逆恨みしてくると警戒して近くにいるのに
襲撃してくる様子が無いというもの。
他の子達に聞いても同じような内容が帰ってきた
「全員の共通点は夏休み前は好ましい物だけだった」
「そして夏休みが明けたらそれが全て消えた」
なんだこの、なんだ・・・?言葉に出来ないと
僕と雫は困惑し合ってお互い見ている。
ただ彼女を見ていた事で有る事を思い出した
蜃気楼
体育祭で彼女が言った言葉だ。これが当てはまる
「面白い話してるなお二人さん」
そう言って足立遊助が会話に割り込んできた
「こんにちは足立さん」
「よー遊助。面白いのこれ」
「ああ、面白い。まるで攻略本を片手に持って動いてるようなもんだからな」
「なんだそれ」
「例えば、この世界を恋愛ゲームの世界としてさ。
正解の選択肢を選び、行動すれば好感度が上がる。
だけど初見だと複数の選択肢の内、どれが正解か分からないだろ?
しかも人によって正解が違う。甘い物が好き、辛い物が好きって感じで。
だけど一条は一切間違える事無く正解の選択肢を選び続けてる。
だからまるで攻略本通りの動きだなって思ったんだ」
そして俺の感想でしかないがと、あの一斉告白の正体を遊助が語った。
それは受け入れがたい物だ、受け入れてたまるか。
白金君、大海君、皐月さん、そして僕が動かなかったら危険な物だった。
「アイツ、ハーレムエンドを選んだんじゃないのか?
ハーレムエンドって全員の好感度を上げないと解禁されないからな」
「その例えで行くと、雫は攻略対象の一人だったとでも言うのか・・・!?」
ゲームのように攻略して
ゲーム感覚で女の子達を、雫を弄んだのかアイツ!!!
「ま、問題が起こりまくって崩壊したけどな」
「崩れたもんね一条君のハーレム」
「それについても説明できるぞ。
ハーレムエンドはその先がどうなったか明言されない事が多くて
別名投げっぱなしエンドで無責任な物になってるんだ。
当然その先の選択肢なんて用意されてない。
だからハーレムエンド後のその先を攻略本が無くて
行動できなくなってたんじゃないのかアイツ?」
遊助の話を聞いてると、納得してしまった自分がいた。
「ありがとう遊助。納得したよ」
「どういたしまして、じゃあ俺ゲームに戻るから」
話は済んだと遊助は隠れて携帯機を出してゲームを開始してた
いや学校に持ち込むなよ
「私はちょっと複雑なんだけど・・・」
「攻略対象でハーレムエンドを目指す過程なんて言われればね」
まあ私も納得しちゃったんだけども
そう雫が言った。僕としては怒りでいっぱいだ
つまりハーレムエンドにしたから離れないだろうし思うように行動する。
釣った魚に餌はやらないって事をしてた訳だろ?
そう考えてたら不意に雫が後ろから抱き着いてきた
「え、雫。急にどうしたの!?」
「悠が怒ってるから、怒りを鎮めてる」
そういって後ろから抱き着いて離れない雫
ちょっと、ここ教室で恥ずかしいんだけど・・・!?
「悠って怒ってると拳を強く握る癖があるんだもの」
「え、そうなの?」
「うん。でもそれって私の為に怒ってくれたんでしょう?」
「・・・そうだね」
「ありがとう。でも例え話って言ってたし、真に受けないでね?」
「僕としては思わず納得しちゃって、つい、ね」
「だとしても、だよ」
周りからあっつあつーと野次られてる
幼馴染からの恋人っていいなーなんて聞こえてきた
ちょっとホントに恥ずかしくなってきたけど、僕は改めて決意した。
何があってもアイツに幼馴染で恋人の雫は渡さない
正解を見ながらじゃないと関われないような奴に、彼女は渡さない。
そう思って、より一層一条を警戒していた日々を過ごしていたら
雫と僕が金船先輩に拉致られて彼女の部屋まで送られた。
「東谷悠、一条誠から手を引け。これ以上関わるな」
いつものお茶らけた様子をしてない。
気品あふれる絶対的な存在感を出す財閥の令嬢
ハーレムメンバーからまだ抜けてない金船真帆が
僕に一条から手を引けと言ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます