132

圭子さんの言葉で決心がついた。


翌日待ってもらっていた返事をした。

正式な契約の為事務所へ行く日を決めて電話を切った。


俺のすぐ後ろで聞き耳立てて聞いているアイツの頭に手をのせ


「そう言うことだから…」


ニヤニヤしながら


「よかったね!」


なんでこいつは、そんな笑顔で言えるんだろうか…


「なぁ」


俺を見上げているこいつが…


「うん?」


「いや、やっぱいい」


頭に乗せていた手をどけてやり


「まぁ。そう言うことだから」


「うん…ねぇ杉本」


リビングを出て行こうとした俺を呼び止め、振り向いた俺に


「杉本のファン一番になってあげるから、がんばってね」


またその笑顔…

恥ずかしくなったのは俺だった。

まともに顔を見れずに、すぐに背を向け


「ありがとな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る