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「あの…ここで大丈夫です」


送ってもらっている間、会話と言う会話はなかった。

荻野先輩の家から杉本の家まで、歩いて来たが、歩いてもさほどかからない。

それなのに物凄く時間が長く感じた。


「あのね…俺さくらちゃんに嘘吐いた。ごめん」


頭を下げる荻野先輩に言葉がかけれず…


「俺が事実を知ったのは、今年に入ってからなんだ…それまで知らなかったんだよ…けれど、兄は…子供の頃から知っていたんだと思う…あんな言い方してたけど、本当は…さくらちゃんの事ずっと、気にかけてたはずだよ」


「……もう私に関わらない方が…」


「何で?俺が兄に言った言葉聞こえてたでしょ?」


「…無理ですよ…私がいけないんです。探しちゃいけなかったのに…もう…」


「さくらちゃん…」

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