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「まだその人を教える事は出来ないんだ…」


そう、俺は嘘を吐いた。

彼女の兄は誰なのか今ここで、伝えるべきではないと…


彼女と親密になる事が、あの人を困惑させる。

どんな時ですら、冷静沈着なあの人を…

そう、あの人の一番大切なものを俺が取ったら…

どんな顔をして俺に、どんな言葉で言うのか…


見た目もそこそこな彼女だ、庶民丸出しの言動が目立つが、特にガンになる事はない。


まぁ、今まで付き合って来た女どもとはタイプが違うが、まぁ良いだろう。


男慣れしていないのだろうが、杉本だけは別なのか…

いや、そもそもそう言う対象ではないと言うことか…


「あの…それを伝える為にわざわざ…」


「さくらちゃんに電話しても出てもらえなかったから、杉本に頼んだんだ」


「そう…ですか…」


いまだ、警戒心は解いてはくれていないが、そんなもの、直ぐになくなる。


「料理冷めちゃうよ、いただこうか」

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