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「荻野、もう閉めるけど大丈夫かい?」


出入口から司書の先生が顔を出し


「ええ、もう済みましたので、今出ます」


荻野と呼ばれた王子様は、図書館を出る様に目配せをし


「行こ」


突っ立っていた私の手を掴み先生に挨拶をして図書館を出て来た。

旧館の出入口まで手を掴まれたままで…


「あの…」


「うん?あっ、ごめん。出て来ちゃって大丈夫だったの?」


「…はい」


手紙の差出人らしき人は来なかったって事だよね。

もしかしたら、今日が閉館日だと後から知ったのかもしれないし…


「君名前は?」


「あっ…神崎さくらです…」


「桜ちゃんか、図書館は良く利用するの?」


「あっ、はい!」


思わず嘘ついちゃったけど…


「じゃあ、また会えるね」

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