7

本当は今、気がついたと言わんばかりのふりをするか、気がつかないふりをし続けるか…

昔の様に話しかけれれば良いのに、それが出来ない。

それに、彼は私がユイだとは気がついてない。

きっと名簿なんて見ていないだろうし、もしみていたとしても、子供の頃に遊んだ記憶だから、曖昧だろう。

顔の表情からは絶対と言って良いほど、心の内を読まれる心配はないと、思っているユイだが、一瞬表情を変えたのを椿は見逃さないわけがない。


「すみません、隣良いですか」


気がついているのに、自分の居場所だと言わんばかりの女に少しばかりイラッとするも、椿は平静を装い声を掛けてしまった。

隣が嫌ならほとんど食ベ終えている昼飯をさっさと食って退くだろうと思ったからである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る